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「旬の創作麺 上湯煮干し (ちぢれ麺) ¥720+味玉 ¥90」@味どころ 龍の羽の写真平日 晴天 12:30 先客8名 後客6名

〝ニューオープン 探検記〟

昨夜は最近もっぱらのお気に入りである駒込駅前の「カプセル&サウナ ロスコ」にて安定の〝ととのい〟を手に入れた。

客層の中心が地元の方なので、夜遅くなるとサウナが空いているのが魅力なのだ。特別な仕掛けがあるサウナでもなく、室温も水風呂も平均的な温度だが居心地の良さは都内では随一かもしれない。若者のグループ客がおらず、年季の入ったオジサンだけが、サウナの中で自分自身と向き合っている光景には尊さすら感じる。そんな地元のベテランサウナーの邪魔にならないように、昨晩も最上段をお借りして見事な〝ととのい〟を得られた。

さらに魅力のひとつが 24時間営業の食事処で、私はコンセントのあるカウンターがお気に入り席だ。そこで極冷えジョッキの生ビールを飲みながら、RDBの新店情報を漁るのが至福の時なのである。もちろん食事も豊富だが深夜のカロリー摂取を控えているので、ビールの相棒は冷奴と決まっている。そんな中で見つけた新店が本日の目的地であるコチラで、今朝も朝サウナで汗を流していると正午のチェックアウトが迫っていた。

本日は新店訪問のために、朝食も摂らずに万全の胃袋で挑もうと決意していた。身支度を整えて正午少し前に駒込駅を出発し、日暮里経由で京成線にて最寄りの堀切菖蒲園駅まで30分程でやって来た。改札を抜けて目の前の通りを少し行くと、大きな駅前交差点のそばで揺れる赤ちょうちんを見つけた。店頭の大きな看板には〝濃厚(こってり)〟〝淡麗(あっさり)〟 と書かれている。さらには〝白湯〟や〝清湯〟など文字も並び、店先に置かれたメニューには〝上湯〟の表記まである。さらには、週の前後半で提供するスープが違うような告知も記されていた。この時点では店の方向性が全く分からず戸惑いを隠しきれなかったが、腹が減っていたので意を決して入口の前に立った。

〝Wing of Dragon 〟と店名が英語表記で書かれた、茶色の暖簾をくぐって店内に入った。しかし入口左手に設置された券売機の前で、あまりにも難解なメニューボタンに戸惑ってしまった。数多くあるボタンの半数以上が × 印になっており、本日は何があるのか全く分からない。店側も分かりづらいのを承知していて、案内係のホームスタッフまで配置している。そのスタッフの案内に従って醤油系のラーメンを教えてもらい、どうにか発券する事はできた。本日は辛いラーメンか表題だけの少ないメニューしかなかったので、表の看板が大袈裟に思えた。さらに追加したい味玉のボタンを探したが、販売してないメニューにボタンを占領されて各トッピングのボタンが設定されていない。90円や120円と金額別のボタンとなっているが、トッピングの種類が分からず困ってしまった。またスタッフさんが助け舟を出してくれ、券売機に貼られた手書きのトッピングメニューを教えてくれた。分かりづらさを説明できないくらいに、とにかく分かりづらい券売機とメニュー構成に振り回されて、注文するだけで疲れてしまった。

何とか食券を手渡してカウンターに腰を下ろすと、続いてはカスタマイズの質問攻めが待っていた。まずはスープを〝煮干し〟か〝宗田鰹〟を選び、無料サービスの〝背脂の有無〟を聞かれる。次は〝ストレート麺〟〝細麺〟〝ちぢれ麺〟と三種類ある麺の中から好みの麺を選ばなくてはならない。全てを伝えた時には、クタクタになるくらい疲れるシステムだ。各人が好みの一杯に仕立てられるのは有難いが、基本的な店のオススメがあると助かると思ってしまった。後客たちも店のオススメを聞いていたが「そらぞれのお好みですので」と応用力のない返答をしていた。

そんな後客をよそに、無事に注文を済ませた私はカウンター越しに店内を見回してみる。私が座っているL字カウンターの他にも奥にテーブル席もあるが、スタッフと思われる方がパソコンで事務作業をしている。見た目は客席に見えるが、本日は事務デスクとして使われている。昼時を過ぎて来客が増え、行列が出来てもテーブル席は使われずのままだ。客を並ばせてまでも必要な事務仕事があるのかと、私にはとても不思議に映った。提供スピードが間に合わないための策だと思うが、中待ち席として座らせてくれれば、行列の高齢者も楽に待てたはずなのにと思ってしまった。

そんな店内を、本日は事務仕事のスタッフを含めると四人体制で回している。カウンターには花柄が透し彫りされた天板が使われていたりと、シックながら面白みのある設えとなっている。お冷には水素水が使われたり、店内の仕切り暖簾には数々のウンチクが書かれてあったりと随所に拘りが詰まっている。そんな中に〝無化調〟への変更も可能である説明書きを見つけたが、時すでに遅しで我が杯が到着してしまった。

その姿は「川越 頑者」「宮崎 栄養軒」「伊勢崎 麺&cafe Coi.Coi.」「池袋 ナベラボ」など、各地の有名店でも使われている鳳凰の描かれた白磁の切立丼で登場した。タコ唐草や雷紋柄に次いで好きな器だけに、興奮を抑えきれずにレンゲを手にした。

まずはスープをひとくちと思ったが、液面には盛りだくさんの具材や薬味が所狭しと盛り付けられている。そんな渋滞状態の液面の中から、わずかに見える部分にレンゲを沈めてみる。そこに見える赤白橡色のスープからは、商品名の〝上湯煮干し〟の煮干しの香りが主役のようで、上湯の香りは影を潜めている。煮干し特有の水泡と共にレンゲに注がれてくるスープを見ると、若干の動物性コラーゲンの粘度を感じる。見た目では上湯でも清湯でもなく半濁したスープを口に含むと、鶏出汁がベースのような動物系スープが土台を築いている。そこには上湯には必須の〝金華火腿〟の旨みの強さは感じられず、上湯の表記が疑問に思った。鶏ガラ主体に煮干しなどの乾物類で炊いた出汁に節粉で調整したスープに、高級スープである上湯のイメージとは違う仕上がりに思えた。そんなスープに合わせるカエシも高めの設定なので、単体で飲む事は諦めて麺に移行した。

麺上げまでジャスト90秒の麺を引き上げると、黄色い透明感のある昔懐かしい中細ちぢれ麺が現れた。切り出しは 20センチにも満たない短さだが、箸先には力強い重みを感じるので加水率は高そうだ。そんな手応えのある麺を一気にすすり上げると、短波な麺のちぢれが唇をくすぐりながら滑り込んでくる。かなり硬めの茹で加減が独特の口当たりを表現するが、後客の高齢女性の二人組が話していた内容に同感した。

「これは若者向きのラーメンだね、婆さんには硬すぎるわ」

ふと隣を見ると、お年寄り女性もスープは違ったが私と同じ、ちぢれ麺を選んでいた。硬すぎるとまでは思わなかったが、たしかに若者向けだとは思った。氷で締めたのではと感じるくらいに、ゴリゴリマッチョな歯応えを残している。時代が昭和ならばテーブルをひっくり返して出て行く客がいてもおかしくない麺の硬さだ。

その女性たちの会話の中に出てきた、懐かしい言葉も聞き逃せなかった。それは消費税増税前に買いだめをした話だったが、何を買ったかと言うと〝ちり紙〟を買い込んだらしいのだ。平成を経て令和になった現代でもトイレットペーパーではなく、ちり紙なのだ。私も子供の頃はそう呼んでいたが、いつのまにか外来語に魂を売ってしまい呼び名を変えてしまった。そんな懐かしい言葉を思い出しながら具材を楽しんでみる。

一般的に思い描くチャーシューは入っておらず、切り落とし部分だけが盛り付けてある。形が整っていないので部位が不明だが、鶏モモ肉と豚バラ肉を混ぜ合わせたものだろうか。煮豚と思われる小さな肉片を噛んでみるが、特に味わいがある訳ではない。切り落としがあるならば基本のチャーシューがあるはずだが、周囲を見ても辛いラーメンにも入っていなかったので詳細は分からずじまい。

ふんだんに盛り付けられた板メンマは滑らかな舌触りと食感だが、とにかく味付けが甘すぎる。噛むたびに、じんわり滲み出てくる甘みはメンマを食べている感覚を麻痺させる。よく言えば、デザート感覚のメンマだった。

唯一追加した味玉は、写真からも分かるように完全な固茹でたまご。メニューには半熟とは書かれてなかったので固茹でなのは理解できるが、味玉と名付けるには余りにも味付けの無さが残念だ。白身の表面だけには薄っすらと漬けダレが染みているが、そこ以外は普通の固茹でたまごと変わりない。よく言えば、素材重視の味玉だった。

具材には九州のラーメン以外では珍しくキクラゲも大量に添えてあったが、特有の歯応えが麺の強さと競り合うように食感をアピールしている。キクラゲは嫌いではないので大歓迎だが、スープや麺との相性には疑問が残る具材だ。よく言えば、未知との遭遇を思わせる具材だった。

薬味の青ネギは、俗にゆう〝博多万能ねぎ〟を使われている。笹切りよりも筒切りのような切り方が特徴的で、彩りも兼ねて添えてある。香りも食感も穏やかなのが持ち味だが、小口切りよりも切り口の面積が少ない切り方なので、より優しい香りを生んでいる。それに反して食感の方は、小口切りよりも大胆に感じられる。

そんな中で、粗く刻まれた玉ねぎは素晴らしい仕事をしてくれた。玉ねぎ自体の香りが高く、刺激的な辛みの後から追いかけてくる甘みが最終的に残る。よほど良質の玉ねぎを見つけられた店主さんの目利きの高さが伝わってくる薬味だ。

中盤からも強麺の歯応えは衰える事なく、力強さをアピールし続けている。初見では分からなかった節粉が丼底に沈んでいたので、麺を引き上げるたびにスープが濁ってきた。それに伴って煮干しの苦味が徐々に強くなりザラつきも舌に残るようになってきた。旨味成分の底上げは感じなかったのが救いで、強情っぱりな麺だけは平らげる事ができた。やりたい事や遊び心にあふれていたが本領発揮となるのは、これから先のようである。

スープや具材は残してしまったが、行列が増えてきたので慌てて席を立って店を出ようとしたら、ホールにいた男性スタッフにこう言われた。

「丼を上げてください」

たしかに卓上には説明書きが小さく書かれてあったので見逃した私が悪いが、目の前のホールにいるスタッフさんに催促されるとは思いもしなかった。入口から引き返して器を高台に上げてテーブルをティッシュで拭いて店を出たが、どうにも後味の悪い一杯となった。ちなみにラーメンだけの採点なので 61点となったが、環境や接客を含めると過去最低にも準ずる評価となる一杯でした。

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