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「濃厚ホタテそば ¥900+味玉 ¥100」@NOODLE VOICEの写真平日 晴天 10:50 待ちなし 後客3名

〝ニューオープン狙いうち〟

本日はRDBの新店情報を漁っているとコチラがヒットした。お店情報では今月オープンしたばかりの新鋭ラーメン店のようだが、修行先などの時系列を追っても未訪問店ばかりで謎が多い。

場所は池袋だが、この界隈が最近また新店オープンラッシュに湧いている気がするのは私だけだろうか。そんな新たな賑わいを肌で感じるために本日は初訪問を決めた。

11時開店前の現着を目指して山手線で池袋駅に着くと、そこからは歩いてLUMINEを抜けるとシンプルな看板が目に入った。オシャレな外観が目を惹くが開店10分前では並びもなく先頭にて待機する。窓ガラス越しに着々と開店準備の進む店内を眺めていると定刻より3分早くオープンしてもらった。

店頭にあったメニューを見ていた時に看板メニューであろう濃厚ホタテ系以外にも中華そばがある事を知り、保守的本能が発動してしまった。しかし店内の券売機の中華そばのボタンは× 印となっていて、夜の部からの提供らしい。そうなれば腹をくくって得意ジャンルではない濃厚系に挑戦しようとボタンを押した。気になる味玉だけは追加した。

食券を手渡しカウンターに腰を下ろし店内を見回す。外観同様にオールドビンテージをイメージした洒落た店内を、テーブル席も設けられて広いながらも本日はツーオペで回している。調理場内に目をやると、最大級のスープ炊き用の寸胴鍋と他店ではあまり見かけない珍しいタイプの茹で麺機が印象に残る。その茹で釜に付着した湯垢が赤く浮かび上がっているのが、麺に影響しないものかと心配になった。

そんな心配をよそに着席して8分ほどかけて我が杯が到着した。追加した味玉が入っていなかったが、写真を撮っていると別皿にて提供された。集合写真用に丼の中に移動してから再度、記念撮影。その姿は白磁の多用丼の中で彩りの美しい洒落たビジュアルを見せる。

まずは白濁したスープをひとくち。見た目からはポタージュのような濃度の強さを感じるが、レンゲを落とし込んでみると意外にも指先に感じる抵抗力は少ない。いざ口に含むとレンゲからのサラリとした感覚とは違って壮大なとろみが広がる。それは豚骨系の動物性コラーゲンを思わせる濃度だ。しかしドロっとした重たさはなく、濃厚なれど清らかさも持ち合わせているスープだ。この時点では冠に掲げたホタテの旨みは微かに感じるだけで、基礎の中心は豚骨主体の動物系スープが担っている。カエシも高めに設定してあるが、初動では過剰な塩気は感じずに上々のスタートだ。しかしスープの分類は何にすれば良いのだろうと、頭を抱えるジャンル分けに困ってしまうようなスープでもある。

次に麺を持ち上げてみると、緩やかに波打った中太麺は麺肌には全粒粉のフスマが所々に見られる。麺上げまで240秒の長時間にも耐えうる強麺を啜り上げてみると、ここでようやくホタテの香りと旨みが炸裂した。麺を吸い込む吸気に伴って飛び込んできたホタテの風味に卒倒する。またスープの動物性コラーゲンと中太麺から溶け出したグルテンが重なる事で生まれた口当たりの滑らかさは唯一無二の存在感を脳裏に焼き付ける。麺の最期の一本まで、この喜びが続くと思っただけでトランス状態に入った。この麺の特徴は口当たりだけではなく、パワフルな噛みごたえも特筆すべき点である。緩やかなウェーブも手伝って口の中を暴れまわる麺を奥歯で捉えると、全粒粉入りならではの素朴な小麦の香りが花開く。奥歯の歯茎にまで伝わってくるモッチリとした歯応えが、フルボディな麺質を物語っている。よくぞ、このスープと麺が出会ってくれたと拍手を送りたくなるような抜群の相性だ。懸念された茹で釜の湯垢の影響もなく安心したが、気持ちの面では微妙な印象を残した。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚型が表面を炙られて二枚も乗っている。下準備で炙られたチャーシューを、さらに提供直前に炙り直されているので香ばしさに炙り立てのフレッシュ感がある。素材の豚バラの赤身と脂身のバランスも良く、獣臭も全くないので鮮度の良さも証明される。味付けも穏やかだが、赤身の肉の持つ旨みや脂身の甘さが引き出されている絶妙な味加減。

追加した味玉も奇跡のような仕上がりで驚かされた。時間差で提供されたので湯煎の中で忘れられていたようだが、それが功を奏して熱々の味玉となっていた。もしかしたら今回だけの偶然なのかもしれないが、一期一玉の精神でありがたくいただいてみる。噛み切ろうとした唇には白身の熱さを感じると、その中の完全熟成した黄身までもが高温になっている。しかし浸透圧によってゲル化した黄身は固まることなく半熟を保っている。それでいて塩分の浸透は最小限に抑えられて卵本来の旨みだけを際立たせている。下茹で、提供温度、味付けの全てが完璧な味玉は、我が〝味玉論〟の模範のような出来栄えだった。

メンマは大きさや太さがランダムで様々な食感を与えてくれる。太メンマは力強い歯応えと繊維質のほどける心地よい食感を。細板メンマは発酵食品ならではの香りを楽しませてくれる。

薬味はバラエティに富んでいて濃厚スープを飽きさせない工夫がしてある。スープとの相性が良い順に紹介したい。まずは赤たまねぎアッシェが文句なしの相性の良さを見せる。玉ねぎの辛味を前面に押し出して辛すぎるとも思われる薬味だが、濃厚スープの塩分やクドさを打ち消すような刺激で制してくれる。もう少し大きな粗切りでも良いのではとも思えたが薬味としてのアピールは十分だった。次には柚子皮が好演してくれた。白い薄皮部分を丁寧に取り除かれた黄柚子の皮が偶然に口の中に入ってきた時に生まれる清涼感は柑橘類にしか成せないアクセントだ。三番手には海苔が挙げられる。香りも高く口溶けも良い高品質な海苔が与えてくれる磯の香りはホタテスープとの相性は言うまでもない。

ここまでは薬味としての存在感を発揮していたが、カイワレ大根と大根の角切りには大した意味を受け取れなかった。青みとしてのカイワレの存在は理解できるが、量的にも少ないカイワレは持ち味の辛味や食感をアピールできないままに胃袋へと消えていた。これだけ味の個性が強いメンバーの中では若干の力不足に感じた。また角切りの大根はこちらの店のシンボライズとも言うべき薬味であるはずが、特徴的な要素を見出すことが出来なかった。特に辛味や甘みがある訳でもない普通の大根で、やはりスープの中では印象が薄い。口の中をサッパリとさせる狙いだとしたら辛味大根の鬼おろしの方が適任にも思えた。また大ぶりな切り方も食感を楽しむためのものだろうが、スープにも麺にも寄り添わず邪魔にさえ感じてしまった。

中盤からも麺の旨さを楽しみながら完食へと近づいていたが、後半にはスープの中のホタテ由来のコハク酸が喉を灼くように感じられてきたので少しの麺とスープを残して箸とレンゲを置いた。

自分自身の貝由来コハク酸耐性の弱さを露呈する形で幕を閉じてしまったが、こらならば夜限定の中華そばにも期待が持てると思いながら席を立った。

池袋の中でも来る事のないエリアだったが、私の知っている昔とは随分と違ってキレイに街並みになっていた。今秋まで工事の進む〝IWGP〟が劇場公園としての生まれ変わった頃には、私の中の池袋のイメージも更に大きく変わるのだろうなと思えるほどにオシャレで洗練された一杯でした。

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