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平日 晴天 10:20 待ちなし 後待ち18名昨夜はこちらへの初訪問を果たすためだけに荻窪に宿泊した。昨年末のオープンながら皆さんの評価も高く、開店前の行列は荻窪の新名物になりつつあるようなので初訪問のハードルは上がるばかりで二の足を踏んでいた所だ。しかし昨夜は一念発起して覚悟を決めて前泊に乗り出した。実際は自宅からでも30分ほどの距離だが気合を入れて早めの現着の為に荻窪駅近くに宿をとった。簡易的なカプセルホテルなのだが、なかなか快適な夜を過ごせた。毎回のようにラーメンの為に前泊すると見知らぬ街の夜の雰囲気に飲み込まれてしまい、朝方まで呑んで翌朝には起きられないという最悪のパターンが定番化しつつある。しかし昨夜の宿は24時間営業のバーを完備してあり、夜の繁華街に繰り出さなくともドラフトビールが楽しめるのだ。ホテルとはいえ缶ビールよりは生ビールの方が有難い。おつまみなどのフードメニューも25時半までオーダー可能なようで、これまた嬉しいサービスだ。その上、朝食は名物カレーや、お茶漬けまでもが食べ放題なのには驚いた。あとでラーメンを食べに行く私には必要なかったので悔いは残る。しかもチェックアウトが午後3時なので、ラーメンを食べた後に戻って来てから、ひとっ風呂浴びられる贅沢な時間が過ごせる。ここは西東京遠征の拠点には抜群の環境で利用頻度も上がりそうだ。そんなホテルで午前8時の目覚まし時計を合図に目を覚ます。いつもの遠征時にはない爽快な目覚めだ。人工温泉の大浴場で1時間程ゆっくりと汗を流して脳に刺激を与えて、昨夜のバーコーナーに上がりフリードリンクのコーヒーで胃袋に刺激を与える。となり客のカレーや納豆ごはんが更に胃袋を刺激する。ラーメンの為に誘惑を振り切って身仕度を整える。午前10時にホテルをチェックアウトせずに外出扱いにして、いざ本丸へと足を進める。ホテルから思いのほか近く5分もせずに店先に着いてしまった。まだ開店の80分以上前なので、さすがに誰もいないが先頭にて外待ち用の①のシールが貼られた丸椅子に座り開店時間を待つ事にした。無垢板に屋号の彫り込まれた看板が高級感をあおる。5分ほど待っていると早朝から温泉で温まった身体の熱が、二月の冷たい空気に急速に奪われていくのを感じた。身の危険を判断して、ひとまずは撤退し近所のコンビニで温かい飲み物と携帯カイロを購入して再び店頭に戻る。その後も行列は増えず時間だけが過ぎていった。オープン特需も落ち着いてきたのだろうかと思っていたら、開店30分前を過ぎるとようやく後列がお一人増えた。すると店から熱い緑茶のサービスがあった。紙コップではなく陶器の湯呑みなのも嬉しい。冷えた身体だけでなく指先まで温められるので命がつながった。それからは店先待ちの丸椅子は直ぐに埋まり、以後の行列は少し離れた道路で案内のようで人数は不明だが、そちら方向へと急ぐ人たちが何組かいたのは見受けられた。定刻になるまでに本日のお題を予習しておくと、つけ麺の需要が高そうではあるが己の信念に則って醤油系のラーメンと好物の味玉だけは必須アイテムとして追加しようと決めた。すると定刻よりも7分も早くオープンとなり店内に入る。券売機のヘッドライナーは二枚看板のラーメンとつけ麺が飾っているが、あらかじめ決めておいたお題を発券しカウンターに座る。店内を見渡すと小料理屋でも出来そうな、白木をベースとした和の落ち着いた雰囲気の店内を、ご主人とスタッフの二人体制で切り盛りしている。7席だけのL字カウンターの奥の小窓からは製麺機があるのが分かる。しっかりと見えないが緑のボディカラーなので小野式の手動製麺機だろうか。暖簾に書かれた自家製麺が裏付けされた。本日の客層は同年代くらいのおじさん層が多い。くたびれかけた私の胃袋にも優しいラーメンなのではと期待が高まる。そんな中、着席して10分を過ぎた頃に我が杯が到着した。粉引の鳴門丼の中の姿を見ただけで、前泊してまで来て良かったと確信した。具材ひとつに対しても丁寧な仕事ぶりや完璧な配置バランス、色彩の美しさの全てが私好みの美人な容姿だった。いつまでも眺めていたいと思えるラーメンに久しぶりに出会った。しかし眺めているだけでは空腹は満たさせず麺のコンディションも変化してしまうので、まずは淡い鶏油の薄化粧をした弁柄色のスープをひとくち。清く澄んだスープから最初に感じるのはカエシの醤油の風味だ。鼻から脳に伝わった醤油感を思い描きながら口に含むと意外なことに、味覚の上では鶏出汁の旨みが押し寄せてくる。スープの色合いと香りからは強く思えた醤油の風合いも塩分は抑えてあり、塩気よりも旨みで味わうスープに思えた。鶏油のコクだけに頼らずに出汁の旨みで勝負しているあたりに職人魂を感じる。土台の鶏出汁の後ろには特出しないが複数の旨みの層があるようだ。ウンチクには鰹節や煮干し、昆布や干し椎茸と基本的な材料が書かれているが、全てのバランスが良いので感じ過ぎる風味がない。書き手泣かせではあるが、それほどに計算し尽くされた配合には思わず一口で唸ってしまった。すぐさま麺をいただいてみる。麺上げまで60秒弱の自家製ストレート細麺は全粒粉のフスマが浮かび上がる。細身で透明感のある麺肌は女性的で優雅に見えた。箸で持ち上げただけで小麦の風味が湧いてきた。その麺を一気に啜るとスープの香りと麺の香りが一体となって口の中を滑り落ちて行った。一口目は噛む隙がないほど滑らかに消えていった。二口目はしっかりと嚙みつぶそうと奥歯でプレスしようとするが、咀嚼から逃げようとする食感の麺なので奥歯で捉えづらい。パツっとした歯切れの良い麺が好みの私には違う路線の麺質ではあるが、ファンが多いのも十分にうなずける麺だ。具材の焼豚は奇跡の出会いと思える、赤耳焼豚こと広東式叉焼が乗っていた。予習段階では焼豚の情報を知らずに入店したのだが、壁の高いカウンター越しに調理場を見たときにガス台の上に吊るし焼きの釜があったので、もしやとは思っていたが実際に目の前に現れた時には小踊りしたいほど喜んだ。部位は小ぶりなので豚肩ロースの半カットか豚ウデ肉に近い部分だろうか。本場の広東式叉焼のように八角や五香粉を効かせた焼豚ではなく、優しいスープに合わせた穏やかな下味と香辛料。赤耳の部分の蜜ダレの甘みも控えめでラーメン全体に寄り添っている。味付けで誇張せずに赤身の肉質だけを活かした食感の良さは二枚では物足りないくらいだ。あとで気づいたのだが、肉増しという素敵な追加がある事を知り次回の宿題となった。追加の味玉がこれまた秀逸で〝キングオブ味玉〟の称号を与えるべき仕上がりだった。卵の質や下茹で加減、漬けダレの濃度に熟成具合と全てが備わった味玉は、まさに王様。丁寧に温め直された温度からも仕事の細かさが伝わってくる。塩分の浸透圧で硬くなりがちな白身も適度な弾力を残す柔らかさ。その弾力の中には液体でも固体でもないゲル化した黄身がネットリと潜んでいる。しっかり水分が抜けた黄身は本来以上の旨みを増し、甘みすら感じてしまう。これもまた際立つ事なくラーメンの中で寄り添っている具材だ。これに続くメンマも申し分ない出来映え。完全発酵の乾燥メンマを手間をかけて下処理し、原料の麻竹の香りを残しながら薄味の味付けで仕上げてある。噛めば独特の食感が歯先から歯茎に伝わり繊維がほぐれて消えていく。太さはないがハッキリとした歯応えが楽しくアクセントとなるが醤油感は控えめにしてある。薬味は青ねぎと白ねぎの笹切りで、どちらも仕事が丁寧なのが切り口から分かる。あくまで薬味としての存在なのでスープや麺の邪魔をしないのが良い。青ねぎはフレッシュな香りを与え、白ねぎはキリッとした辛味をもって脇役に徹する。十字15切の海苔も小さくはあるが香りが高い。黒々とした厚手の海苔なので、口溶けよりは歯応えを楽しむタイプだ。中盤から麺に戻るとスープの熱で、しなやかさを増していた。やはり好みの問題なのだが、みっちりとグルテンの詰まった麺が好きなので若干の物足りなさを感じてしまった。こちらのご主人と親交のある大森の人気店もそうなのだが、スープも具材も素晴らしく好きなのに、麺が好みとズレている点が、お気に入りのラーメンを見つける難しさを痛感する。しかし初訪問で満足できた事には大変うれしく思う。店を出て行列の行方を見に行くと10名を越す列が続いていた。どんなに並んでも食べる価値があると思える一杯でした。
昨夜はこちらへの初訪問を果たすためだけに荻窪に宿泊した。昨年末のオープンながら皆さんの評価も高く、開店前の行列は荻窪の新名物になりつつあるようなので初訪問のハードルは上がるばかりで二の足を踏んでいた所だ。
しかし昨夜は一念発起して覚悟を決めて前泊に乗り出した。実際は自宅からでも30分ほどの距離だが気合を入れて早めの現着の為に荻窪駅近くに宿をとった。簡易的なカプセルホテルなのだが、なかなか快適な夜を過ごせた。
毎回のようにラーメンの為に前泊すると見知らぬ街の夜の雰囲気に飲み込まれてしまい、朝方まで呑んで翌朝には起きられないという最悪のパターンが定番化しつつある。しかし昨夜の宿は24時間営業のバーを完備してあり、夜の繁華街に繰り出さなくともドラフトビールが楽しめるのだ。ホテルとはいえ缶ビールよりは生ビールの方が有難い。おつまみなどのフードメニューも25時半までオーダー可能なようで、これまた嬉しいサービスだ。その上、朝食は名物カレーや、お茶漬けまでもが食べ放題なのには驚いた。あとでラーメンを食べに行く私には必要なかったので悔いは残る。しかもチェックアウトが午後3時なので、ラーメンを食べた後に戻って来てから、ひとっ風呂浴びられる贅沢な時間が過ごせる。ここは西東京遠征の拠点には抜群の環境で利用頻度も上がりそうだ。
そんなホテルで午前8時の目覚まし時計を合図に目を覚ます。いつもの遠征時にはない爽快な目覚めだ。人工温泉の大浴場で1時間程ゆっくりと汗を流して脳に刺激を与えて、昨夜のバーコーナーに上がりフリードリンクのコーヒーで胃袋に刺激を与える。となり客のカレーや納豆ごはんが更に胃袋を刺激する。ラーメンの為に誘惑を振り切って身仕度を整える。
午前10時にホテルをチェックアウトせずに外出扱いにして、いざ本丸へと足を進める。ホテルから思いのほか近く5分もせずに店先に着いてしまった。まだ開店の80分以上前なので、さすがに誰もいないが先頭にて外待ち用の①のシールが貼られた丸椅子に座り開店時間を待つ事にした。無垢板に屋号の彫り込まれた看板が高級感をあおる。
5分ほど待っていると早朝から温泉で温まった身体の熱が、二月の冷たい空気に急速に奪われていくのを感じた。身の危険を判断して、ひとまずは撤退し近所のコンビニで温かい飲み物と携帯カイロを購入して再び店頭に戻る。その後も行列は増えず時間だけが過ぎていった。
オープン特需も落ち着いてきたのだろうかと思っていたら、開店30分前を過ぎるとようやく後列がお一人増えた。すると店から熱い緑茶のサービスがあった。紙コップではなく陶器の湯呑みなのも嬉しい。冷えた身体だけでなく指先まで温められるので命がつながった。それからは店先待ちの丸椅子は直ぐに埋まり、以後の行列は少し離れた道路で案内のようで人数は不明だが、そちら方向へと急ぐ人たちが何組かいたのは見受けられた。
定刻になるまでに本日のお題を予習しておくと、つけ麺の需要が高そうではあるが己の信念に則って醤油系のラーメンと好物の味玉だけは必須アイテムとして追加しようと決めた。すると定刻よりも7分も早くオープンとなり店内に入る。券売機のヘッドライナーは二枚看板のラーメンとつけ麺が飾っているが、あらかじめ決めておいたお題を発券しカウンターに座る。
店内を見渡すと小料理屋でも出来そうな、白木をベースとした和の落ち着いた雰囲気の店内を、ご主人とスタッフの二人体制で切り盛りしている。7席だけのL字カウンターの奥の小窓からは製麺機があるのが分かる。しっかりと見えないが緑のボディカラーなので小野式の手動製麺機だろうか。暖簾に書かれた自家製麺が裏付けされた。本日の客層は同年代くらいのおじさん層が多い。くたびれかけた私の胃袋にも優しいラーメンなのではと期待が高まる。
そんな中、着席して10分を過ぎた頃に我が杯が到着した。粉引の鳴門丼の中の姿を見ただけで、前泊してまで来て良かったと確信した。具材ひとつに対しても丁寧な仕事ぶりや完璧な配置バランス、色彩の美しさの全てが私好みの美人な容姿だった。いつまでも眺めていたいと思えるラーメンに久しぶりに出会った。
しかし眺めているだけでは空腹は満たさせず麺のコンディションも変化してしまうので、まずは淡い鶏油の薄化粧をした弁柄色のスープをひとくち。清く澄んだスープから最初に感じるのはカエシの醤油の風味だ。鼻から脳に伝わった醤油感を思い描きながら口に含むと意外なことに、味覚の上では鶏出汁の旨みが押し寄せてくる。スープの色合いと香りからは強く思えた醤油の風合いも塩分は抑えてあり、塩気よりも旨みで味わうスープに思えた。鶏油のコクだけに頼らずに出汁の旨みで勝負しているあたりに職人魂を感じる。土台の鶏出汁の後ろには特出しないが複数の旨みの層があるようだ。ウンチクには鰹節や煮干し、昆布や干し椎茸と基本的な材料が書かれているが、全てのバランスが良いので感じ過ぎる風味がない。書き手泣かせではあるが、それほどに計算し尽くされた配合には思わず一口で唸ってしまった。
すぐさま麺をいただいてみる。麺上げまで60秒弱の自家製ストレート細麺は全粒粉のフスマが浮かび上がる。細身で透明感のある麺肌は女性的で優雅に見えた。箸で持ち上げただけで小麦の風味が湧いてきた。その麺を一気に啜るとスープの香りと麺の香りが一体となって口の中を滑り落ちて行った。一口目は噛む隙がないほど滑らかに消えていった。二口目はしっかりと嚙みつぶそうと奥歯でプレスしようとするが、咀嚼から逃げようとする食感の麺なので奥歯で捉えづらい。パツっとした歯切れの良い麺が好みの私には違う路線の麺質ではあるが、ファンが多いのも十分にうなずける麺だ。
具材の焼豚は奇跡の出会いと思える、赤耳焼豚こと広東式叉焼が乗っていた。予習段階では焼豚の情報を知らずに入店したのだが、壁の高いカウンター越しに調理場を見たときにガス台の上に吊るし焼きの釜があったので、もしやとは思っていたが実際に目の前に現れた時には小踊りしたいほど喜んだ。部位は小ぶりなので豚肩ロースの半カットか豚ウデ肉に近い部分だろうか。本場の広東式叉焼のように八角や五香粉を効かせた焼豚ではなく、優しいスープに合わせた穏やかな下味と香辛料。赤耳の部分の蜜ダレの甘みも控えめでラーメン全体に寄り添っている。味付けで誇張せずに赤身の肉質だけを活かした食感の良さは二枚では物足りないくらいだ。あとで気づいたのだが、肉増しという素敵な追加がある事を知り次回の宿題となった。
追加の味玉がこれまた秀逸で〝キングオブ味玉〟の称号を与えるべき仕上がりだった。卵の質や下茹で加減、漬けダレの濃度に熟成具合と全てが備わった味玉は、まさに王様。丁寧に温め直された温度からも仕事の細かさが伝わってくる。塩分の浸透圧で硬くなりがちな白身も適度な弾力を残す柔らかさ。その弾力の中には液体でも固体でもないゲル化した黄身がネットリと潜んでいる。しっかり水分が抜けた黄身は本来以上の旨みを増し、甘みすら感じてしまう。これもまた際立つ事なくラーメンの中で寄り添っている具材だ。
これに続くメンマも申し分ない出来映え。完全発酵の乾燥メンマを手間をかけて下処理し、原料の麻竹の香りを残しながら薄味の味付けで仕上げてある。噛めば独特の食感が歯先から歯茎に伝わり繊維がほぐれて消えていく。太さはないがハッキリとした歯応えが楽しくアクセントとなるが醤油感は控えめにしてある。
薬味は青ねぎと白ねぎの笹切りで、どちらも仕事が丁寧なのが切り口から分かる。あくまで薬味としての存在なのでスープや麺の邪魔をしないのが良い。青ねぎはフレッシュな香りを与え、白ねぎはキリッとした辛味をもって脇役に徹する。十字15切の海苔も小さくはあるが香りが高い。黒々とした厚手の海苔なので、口溶けよりは歯応えを楽しむタイプだ。
中盤から麺に戻るとスープの熱で、しなやかさを増していた。やはり好みの問題なのだが、みっちりとグルテンの詰まった麺が好きなので若干の物足りなさを感じてしまった。こちらのご主人と親交のある大森の人気店もそうなのだが、スープも具材も素晴らしく好きなのに、麺が好みとズレている点が、お気に入りのラーメンを見つける難しさを痛感する。
しかし初訪問で満足できた事には大変うれしく思う。店を出て行列の行方を見に行くと10名を越す列が続いていた。どんなに並んでも食べる価値があると思える一杯でした。