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平日 晴天 11:05 先待ち2名 後待ち10名〝新春うまいものめぐり〟と銘打って昨年お世話になった自分が美味しい思った店だけを巡るという贅沢な一週間を過ごそうと決めた。そこで本日のお店に選んだのがこちらだ。初訪問時の衝撃は今でも鮮明に覚えている。夏真っ盛りの炎天下の中で並んだ風景やご主人の調理の所作、もちろんラーメンの美味しさまで昨日のことのように思い出される。いつかの再訪を切願していたがチャンスを作れず今日に至った。前回以上の人気と知名度のアップが予想されるので11時半開店前の現着を目指して所用を済ませた赤坂見附から丸ノ内線に乗り込んだ。本来ならば住民の利用がほとんどの分岐線沿線にあるこちらだが、最近の人気ラーメン店の台頭で中野坂上駅から方南町駅間の利用客が増えたのではないかと思ってしまうほどだ。私もその内の一人で昨年はこの路線を何度も利用させてもらった。乗車時間25分ほどで最寄りの中野富士見町駅に着いた。駅前は殺風景に見えるが新宿副都心のビル群が右手に見える利便性の高そうな駅だ。こちらの店は駅近の立地なので迷うことなく進むと店先が見えてきた。45分前の現着だったが予想に反して行列は無かったので近隣を散歩してみる。この時にガラス張りの製麺室ではご主人が黙々と麺を打っている姿が見えた。屋号の冠にもあるように「純手打ち」なので製麺機などは無く麺打ち台と麺棒だけを相方に力強い腕っぷしだけで寡黙に打ち続ける。そんな魂のこもったラーメンとの再会がうれしくなってきた。20分程して店に戻ると人の並びが出来ていて、たった2席の外待ちプレミアムシートは埋まってしまった。仕方なく三番手をキープしオープンを待った。周囲に高い建物はないが店先は日陰の上に冷たい風が駆け抜ける。身体の冷えを和らげるために時々道路の日なたに出てみながら本日のお題を店頭のメニューから選ぶ。こちらは麺の量を増やしても料金が変わらないので前回同様に増量を悩むがスープとのバランスを考えてしまい並盛りでいこうと決めた。トッピングの全部のせも気になったが欲を出さずに味玉だけを追加する事にした。結果、前回と同じメニューになってしまった。定刻になる頃には行列も増えオープンとなった。店内の券売機で決めておいたお題を発券しカウンターに座り店内を眺める。オープンして10ヶ月を過ぎても調理場のステンレスには一点の曇りもなくピカピカに磨かれていて気持ちが良い。奥にはスープ炊き用の仕込み場もあり贅沢なレイアウトだが、ゲストファーストを考えた中待ち席を多く設けた客席の設計にも心遣いが見られる。着席するとすぐさま麺切りが始まった。打ち立て、切り立てで角の立った太麺を両手の掌底を使い体重を乗せて手揉みする。程よく平打ちになった麺に片栗粉で打ち粉をし軽くほぐしてから煮えたぎる釜の中へ。一瞬、釜の中の湯は静寂を取り戻すが1分ほどで麺が浮き始め再び沸騰し対流の中で麺が泳ぎだす。麺上げまでの時間は麺の状態によって変わるのだろうかタイマーなどはセットせず自身の指先の感覚と経験だけで見極められる。そのご主人の姿を見るだけで安心感が生まれてくる。そんな調理工程を眺めていると第1ロットの3杯目にて我が杯が到着した。ステンレスの受け皿に乗った白磁の鳴門丼の中の姿に久しぶりの再会への喜びが溢れてきた。半年前の表情とは少し違った部分もあるが進化していると言うことだろう。まずはスープをひとくち。香味油の粒子が細やかなので口当たりはサラリとした印象で香りも穏やかだ。軽やかながら深みがあるのは丁寧に旨みを引き出した動物系スープの力強さからだろう。鶏ガラのクセの部分は感じさせず動物系の旨みだけを抽出している。そのスープに幅を持たせる鰹節や昆布の魚介系の人懐っこいスープがホッとさせる一因でもある。ベースは鶏ガラだと思うが豚由来のコクや煮干しの風味もあるので懐かしい中華そばの面影があるのだろうか。醤油ダレもスープの旨みに寄り添うように優しく輪郭を作っている。本日も小さな子ども客がカウンターに座っているが、ここでラーメンを覚えたら化調まみれのラーメンは食べられなくなってしまうだろう。絶品の自家製手打ち麺は本日も最高の仕上がりに思える。決して固茹でではないのにコシの強い麺は歯が当たった瞬間は柔らかいが麺の中心に歯が進むにつれて歯茎への抵抗が強くなる食感のグラデーションとでも言うべき変化を見せてくれる。更にはツルッとした口当たりからモッチリとした歯応えと上質の内麦ならではの香りと甘みの余韻を残して喉の奥へと消えていく。このひとくち食べた時点で麺を大盛りにしなかった事を後悔してしまった。それぞれの麺が個性を持っているので口に運ぶ度に多彩な表情が楽しく箸のスピードが加速する。具材は部位も調理法も違う焼豚が二種類。豚肩ロースの方は低温調理されているが生っぽいものとは違い赤身の繊維質がほどける感覚が心地よい。下味のマリネも十分に漬け込まれてあるので味わいもしっかりしている。一方の豚バラ焼豚は煮豚型だがスープに合わせた薄めの味付けなので豚バラ本来の質が出ているように思った。冷凍バラ肉を解凍しているのだろうかバラ肉の赤身本来の旨みがドリップとともに逃げ出しているように感じた。脂身はしっとりと仕上がっているが赤身はパサつきが気になった。追加した味玉は真紅の黄身はじっくりと浸透圧で熟成されて柔らかすぎる半熟だがネットリと形をとどめている。ただもう少し温めてあれば旨みも感じやすいのに黄身が冷えていて残念だった。金絲メンマも独特の発酵臭を残した下処理や黒胡椒を効かせた味付けがアクセントとなっている。食感は麺に寄り添うように硬すぎず、麺と一体となる食感を楽しめるように仕上がっている。数少ない金絲メンマならではの役目を存分に果たしている。薬味は前回は白ねぎに思ったが今回は九条ねぎのような清涼感のある青ねぎが添えてあった。香りも食感も良く、軽く熱の通った白ねぎのような甘さはないが薬味の存在感は十分。しかし青みのほうれん草は量が少なすぎて彩りとしても不十分だった。しかし気がつけば丼の底が見えているほど夢中で平らげてしまっていた。並盛りでも満腹感はあるが、もっと食べたいと思う欲は今回も出てきてしまった。もしかしたら前回と何一つ変わらないのかも知れないが、私自身の食に対する強欲はとどまる事を知らず自分勝手な思いが出てしまった。より多くを求めてしまうのは、それだけ好きだから期待してしまう証でもあると気づいた一杯でした。
〝新春うまいものめぐり〟
と銘打って昨年お世話になった自分が美味しい思った店だけを巡るという贅沢な一週間を過ごそうと決めた。そこで本日のお店に選んだのがこちらだ。
初訪問時の衝撃は今でも鮮明に覚えている。夏真っ盛りの炎天下の中で並んだ風景やご主人の調理の所作、もちろんラーメンの美味しさまで昨日のことのように思い出される。いつかの再訪を切願していたがチャンスを作れず今日に至った。
前回以上の人気と知名度のアップが予想されるので11時半開店前の現着を目指して所用を済ませた赤坂見附から丸ノ内線に乗り込んだ。本来ならば住民の利用がほとんどの分岐線沿線にあるこちらだが、最近の人気ラーメン店の台頭で中野坂上駅から方南町駅間の利用客が増えたのではないかと思ってしまうほどだ。私もその内の一人で昨年はこの路線を何度も利用させてもらった。
乗車時間25分ほどで最寄りの中野富士見町駅に着いた。駅前は殺風景に見えるが新宿副都心のビル群が右手に見える利便性の高そうな駅だ。こちらの店は駅近の立地なので迷うことなく進むと店先が見えてきた。45分前の現着だったが予想に反して行列は無かったので近隣を散歩してみる。この時にガラス張りの製麺室ではご主人が黙々と麺を打っている姿が見えた。屋号の冠にもあるように「純手打ち」なので製麺機などは無く麺打ち台と麺棒だけを相方に力強い腕っぷしだけで寡黙に打ち続ける。そんな魂のこもったラーメンとの再会がうれしくなってきた。
20分程して店に戻ると人の並びが出来ていて、たった2席の外待ちプレミアムシートは埋まってしまった。仕方なく三番手をキープしオープンを待った。周囲に高い建物はないが店先は日陰の上に冷たい風が駆け抜ける。身体の冷えを和らげるために時々道路の日なたに出てみながら本日のお題を店頭のメニューから選ぶ。こちらは麺の量を増やしても料金が変わらないので前回同様に増量を悩むがスープとのバランスを考えてしまい並盛りでいこうと決めた。トッピングの全部のせも気になったが欲を出さずに味玉だけを追加する事にした。結果、前回と同じメニューになってしまった。
定刻になる頃には行列も増えオープンとなった。店内の券売機で決めておいたお題を発券しカウンターに座り店内を眺める。オープンして10ヶ月を過ぎても調理場のステンレスには一点の曇りもなくピカピカに磨かれていて気持ちが良い。奥にはスープ炊き用の仕込み場もあり贅沢なレイアウトだが、ゲストファーストを考えた中待ち席を多く設けた客席の設計にも心遣いが見られる。
着席するとすぐさま麺切りが始まった。打ち立て、切り立てで角の立った太麺を両手の掌底を使い体重を乗せて手揉みする。程よく平打ちになった麺に片栗粉で打ち粉をし軽くほぐしてから煮えたぎる釜の中へ。一瞬、釜の中の湯は静寂を取り戻すが1分ほどで麺が浮き始め再び沸騰し対流の中で麺が泳ぎだす。麺上げまでの時間は麺の状態によって変わるのだろうかタイマーなどはセットせず自身の指先の感覚と経験だけで見極められる。そのご主人の姿を見るだけで安心感が生まれてくる。
そんな調理工程を眺めていると第1ロットの3杯目にて我が杯が到着した。ステンレスの受け皿に乗った白磁の鳴門丼の中の姿に久しぶりの再会への喜びが溢れてきた。半年前の表情とは少し違った部分もあるが進化していると言うことだろう。
まずはスープをひとくち。香味油の粒子が細やかなので口当たりはサラリとした印象で香りも穏やかだ。軽やかながら深みがあるのは丁寧に旨みを引き出した動物系スープの力強さからだろう。鶏ガラのクセの部分は感じさせず動物系の旨みだけを抽出している。そのスープに幅を持たせる鰹節や昆布の魚介系の人懐っこいスープがホッとさせる一因でもある。ベースは鶏ガラだと思うが豚由来のコクや煮干しの風味もあるので懐かしい中華そばの面影があるのだろうか。醤油ダレもスープの旨みに寄り添うように優しく輪郭を作っている。本日も小さな子ども客がカウンターに座っているが、ここでラーメンを覚えたら化調まみれのラーメンは食べられなくなってしまうだろう。
絶品の自家製手打ち麺は本日も最高の仕上がりに思える。決して固茹でではないのにコシの強い麺は歯が当たった瞬間は柔らかいが麺の中心に歯が進むにつれて歯茎への抵抗が強くなる食感のグラデーションとでも言うべき変化を見せてくれる。更にはツルッとした口当たりからモッチリとした歯応えと上質の内麦ならではの香りと甘みの余韻を残して喉の奥へと消えていく。このひとくち食べた時点で麺を大盛りにしなかった事を後悔してしまった。それぞれの麺が個性を持っているので口に運ぶ度に多彩な表情が楽しく箸のスピードが加速する。
具材は部位も調理法も違う焼豚が二種類。豚肩ロースの方は低温調理されているが生っぽいものとは違い赤身の繊維質がほどける感覚が心地よい。下味のマリネも十分に漬け込まれてあるので味わいもしっかりしている。一方の豚バラ焼豚は煮豚型だがスープに合わせた薄めの味付けなので豚バラ本来の質が出ているように思った。冷凍バラ肉を解凍しているのだろうかバラ肉の赤身本来の旨みがドリップとともに逃げ出しているように感じた。脂身はしっとりと仕上がっているが赤身はパサつきが気になった。
追加した味玉は真紅の黄身はじっくりと浸透圧で熟成されて柔らかすぎる半熟だがネットリと形をとどめている。ただもう少し温めてあれば旨みも感じやすいのに黄身が冷えていて残念だった。
金絲メンマも独特の発酵臭を残した下処理や黒胡椒を効かせた味付けがアクセントとなっている。食感は麺に寄り添うように硬すぎず、麺と一体となる食感を楽しめるように仕上がっている。数少ない金絲メンマならではの役目を存分に果たしている。
薬味は前回は白ねぎに思ったが今回は九条ねぎのような清涼感のある青ねぎが添えてあった。香りも食感も良く、軽く熱の通った白ねぎのような甘さはないが薬味の存在感は十分。しかし青みのほうれん草は量が少なすぎて彩りとしても不十分だった。
しかし気がつけば丼の底が見えているほど夢中で平らげてしまっていた。並盛りでも満腹感はあるが、もっと食べたいと思う欲は今回も出てきてしまった。
もしかしたら前回と何一つ変わらないのかも知れないが、私自身の食に対する強欲はとどまる事を知らず自分勝手な思いが出てしまった。より多くを求めてしまうのは、それだけ好きだから期待してしまう証でもあると気づいた一杯でした。