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「中華そば 中盛り」@東池袋大勝軒 本店の写真 今夜は、中華そば中盛りを食べた。
 注文して約10分、大ぶりのどんぶりで供された中華そばは、非常に繊細でこまやか、上品で味わい深く、これぞ日本のラーメンのお手本、教科書とでも呼びたくなる逸品だった。
 中太麺はふっくらと潤い、適度に弾力があってコシがある。スープは“主役”である麺の邪魔をせず、麺を守るように慎み深く自己主張している。そのいずれも派手さこそないが、じんわりと食べる人の舌に染み込んでくる。まさしく、これぞ滋味。
 よくニューウェーブの人気ラーメン店に入ると、これでもか、これでもかとばかりに脂ギッチョンチョンのラーメンを出されて閉口することがあるが、それと正反対のオーソドックスな正統派スタイルのラーメンだ。
 麺もスープも程よく調和して、余計に干渉し合うことがない。麺を食べれば〈ああ、うまい麺だな〉と思い、スープを飲めば〈ああ、うまいスープだな〉と素直に思える、そんな一杯だ。
 わたしはこれを勝手に「主食系ラーメン」と名付けたい。飲んだ帰りの一杯、深夜の夜食の一杯ではなく、朝昼晩の一つの主食になり得るラーメンという意味で。
 例えば、来日した外国人の友に「いかにも日本らしい、おいしいものを食べさせて」と言われたら、わたしは迷わずこの店を選ぶだろう。
 畏れ多くも、皇族方にラーメンなるものを初めて召し上がっていただくとしたら、やはりこの店にお連れするだろう。
 久方ぶりに帰国した、海外で活躍するプロスポーツ選手に「思いっ切りラーメンが食べたい」と言われたら、とにかくこの店に案内すると思う。
 おいしいものをたっぷり食べさせたい――創業者のそんな思いが、ここのラーメンには結実している。
 具体的にいうと、大勝軒のラーメンは日本そば、うどんを理想形としているのだと思う。
 わたしの郷里もそうなのだが、田舎の人は何かめでたいことがあると、うどんやそばを大量に打つ。そして家を訪れる人訪れる人に、それを思いっ切りふるまう。「もう十分です」と言っても、許さない。福のおすそ分け=カミへの感謝として、次々に「もう一杯いかがですか」と迫ってくる。
 そんな日本的ハレの場の食事としての性格を、大勝軒のラーメンは如実に受け継いでいるのだと思う。
 だからこそ、あのボリューム、淡泊でするりと喉を落ちていく麺、くどくない魚介系しょうゆスープなのであろう。
 最初、わたしはここのラーメンの、いかにも付け足しのような小さい黒ノリ、ナルトの存在理由がわからなかった。
 しかし、これを日本的ハレの場のごちそうのギミックと解釈すれば、理解しやすい。たとえていえば、お雑煮のギンナン、刺し身のツマ、ウナ重のサンショウなのである。それがどうしても必要不可欠というわけではないが、なければ画竜点睛を欠く、ハレの場の雰囲気が出ない、ということなのであろう。
 まさしく、日本の、日本による、日本のためのラーメン――それが東池袋大勝軒本店のラーメンである。

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