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「味玉らーめん 並 ¥730」@らーめん いろはやの写真平日 晴天 13:40 先客1名 後客なし

午前中に出会ったラーメンに感動した後で宿泊先のホテルに戻りレビューを執筆するといった本日も文豪のような生活をしていると、前食のラーメンが無化調ならではの軽さだったので二時間ほどで胃袋に空きスペースが出来てきた。

荻窪を中心に、再び〝初訪問〟〝無化調〟〝清湯醤油系〟の三大ワードにて連食先の捜索を開始する。するとBM店の中にコチラがあった。なぜ今まで訪問の機会がなかったのかと考えてみたが、最寄駅から遠いのが理由だった。しかし本日の宿泊先の荻窪からはバス路線があるようで、そこから徒歩でも数分の距離らしい。迷う事なく初訪問を決めた。

ホテルをチェックアウトして荻窪駅北口から関東バスに乗車し15分ほどで最寄りのバス停に着いた。そこから歩いて向かったが、なかなかの距離だった。腹ごなしには丁度良かったので万全の連食態勢で店先に着いた。総ガラス張りの店内を覗くと先客はお一人と空席が目立つ。昼の部も終了間際なので空いていたのかも。サッシのような入口を開けて店内へ。マミヤOP社製の小型券売機で味玉入りを発券し、調理場に対面したカウンターに腰を下ろして店内を物色する。

壁側にもカウンター席を配置した二分化制のカウンターだけの店内をご主人お一人で切り盛りしている。店内には製麺室が設けられていて、中には大成機械工業の製麺機〝タイセーNo.2型〟が鎮座している。これが麺への思い入れを感じ、小麦粉を被った製麺機の姿が勇ましく映る。簡素化された厨房内には浅鍋式の麺茹で釜が目を惹く。テボは使わず平ザルでの麺上げにも麺に対するこだわりが見られる。派手なアクションや接客を見せない実直なご主人の動きを見ていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の玉淵丼の中で、絶滅危惧種のような姿を見せている。ここまで哀愁漂う表情のラーメンに出会ったことがない。流行りに流されるではなく、自分の信じた道を貫く姿には感銘さえ覚える。そんなラーメンの姿とご主人の姿をオーバーラップしながら大切にいただく事にする。

まずは香味油の粒子が美しく整った赤銅色のスープをひとくち。見た目通りの懐かしい味わいに言葉が出ない。鶏ガラや豚ガラと魚介系の織りなす昔ながらのスープは、まろやかで飛び抜けた旨みではなく全体のバランスで構成されている。カエシも特別な個性はないが出汁に寄り添いスープとしての輪郭を作っている。最高級の鰹節や昆布、地鶏などを使わずとも味わい深いスープを作り出している。もし使っていたら申し訳ない。しかし無化調を謳われているが、まとめ役の旨味成分を感じるのが不思議ではあるが許容範囲内として先へと進む。

麺は数種類の小麦粉をオリジナル配合して打たれた自家製中細ストレート麺で、麺上げまでは150秒程度。ご主人の指先の感覚と経験で麺上げのタイミングを計られた麺は、かなりしなやかに見えた。箸で拾い上げて麺肌を見ると、切り刃の角が分からないくらいにパンパンに膨らんでいる。券売機の横には「固ゆで出来ません」的な貼り紙がしてあったが、この柔らかな麺肌の持ち味を活かす為のこだわりなのだろう。箸先に、しな垂れ掛かるような麺を啜ってみると、麺肌のグルテンが潤滑剤となって一気に滑り込んでくる。それでいて歯応えはもっちりとして咀嚼に応えてくれる。滑らかツルツルの麺にありがちな歯切れの弱さもなく、この麺の全てにご主人のこだわりが詰まっているようだ。私にとっては外注で納品された、カンスイ臭のする黄色い中華麺でなかったのが幸いした。

具材は部位違いのチャーシューが二種類。赤身が特徴の豚モモ肉はロースト仕上げて肉々しさを出している。下味がやや乏しいのでサッパリとしすぎて物足りなさもある。赤身本来の旨み自体も抜けているので寂しく感じた。一方の豚バラ焼豚は巻き煮豚型で、こちらの方が好みだった。しっかりと煮汁の味が浸みているので脂身の甘さをより引き出している。トロトロすぎない仕上がりも好印象だった。

追加の味玉は良く出来ていて、下茹での半熟加減や漬けダレの浸透による熟成感も出ている。かと言って味が濃い訳ではなく卵本来の旨みも残してある。これも高級卵ではないと思うが調理の技が光っていて素材の持ち味以上のポテンシャルを生んでいる。

メンマは板状タイプが添えてあったが適度な食感が、全体的に柔らかめなラーメンの中で引き締め役を好演していた。太さがランダムなので食感の違いが面白い。素朴な味付けもスープに合っていて遠い昔にタイムスリップしたようだ。

薬味は随分と少量だが白ねぎの小口切りが添えてあったような気がする。写真で見ても分からない程度だと思うが、なんとなくあった気がする。しかし薬味としての存在感を確認できないままに無くなっていた。

十字15切の海苔は厚みがあるので口溶けよりも、しっかりとした食感が持ち味なのだろう。鮮度や保存状態が良いのか、香りも十分に出ていた。

最後の具材のナルトは、やはり出生地不明なので口にはしなかった。昔ながらのシンボルとしては欠かせないとは思うが、せっかく無化調を謳うラーメンに本当に必要なのだろうかといつも考えてしまう。

ご主人の思いが込められた麺の勢いに前半は調子良く食べ進んだが、中盤からは舌が疲弊してきて箸とレンゲを置いた。残念ながら完食とはならなかったが、港区の池でタガメを見つけたかのような衝撃が走ったのは事実だ。まだ若く見られるご主人が大切にするものに共感する点は多くあった。これからも絶滅危惧種のような存在のラーメンを作り続けて欲しいと心から望む一杯でした。

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