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土曜日 晴天 10:55 先待ち2名 後待ち8名〝さすらいの未訪問店めぐり〟小鳥のさえずりと共に目覚めたかのような気持ちの良い朝、新規開拓のためコーヒー片手にRDBに向き合う。ニューオープン情報を見ていると、またまたネーミングセンスに富んだ店を見つけた。お店情報を見ると開業への経緯も面白く、レビュー数も少ないので先入観なしで味わえると思い初訪問を決めた。新店なのでオープン特需もあるかと思い、11時開店前の現着を狙って自宅を出た。山手線を品川駅で京急線に乗り換えれば25分ほどで京急蒲田駅だ。最寄駅は京急空港線で一駅先の糀谷駅だが乗換えが面倒で歩いて向かう事にした。殺風景な東口を抜けて大きな通りを15分ほど歩くと糀谷商店街を過ぎた脇道に開店祝いの花の飾られた店を見つけた。すでにお一人の並びがあり二番手をキープ。修行先だろうか多くのラーメン店からも開店祝いの花が届いていた。道中で予習していた屋号の由来とはイメージの違うロゴデザイン。オシャレな外観は女性客にも受け入れやすそうに見えた。定刻ちょうどに、ご主人自ら暖簾を掛けてオープンとなる。券売機のヘッドライナーを飾る醤油味のお題に味玉が付いたものを発券し、カウンターの奥から詰めて腰を下ろす。店内を見渡すと外観と同じく洒落た内装だった。屋号の由来の〝チャルメラ〟からは昔懐かしい雰囲気の内装かと予想していたのだがハズレた。しかしこの内装も30年も経てば、昔懐かしく感じるのかも知れない。そんな今っぽい店内を三人体制で回している。調理場に目をやると奥のガス台では鶏ガラスープと魚介系スープが別々の寸胴鍋で仕込まれている。どちらもスープ炊きには小さめの寸胴鍋で、魚介系スープの方は沸騰させないように温度計で抽出温度が守られていた。目の前には黙々と調理の準備をするご主人の後ろ姿が見えるが、いかにも旨いラーメンを作りそうな大きな背中だった。今風でオシャレではあるが不思議と居心地の良い席に着いて8分ほどで、ワンロット2杯の丁寧なオペレーションにて我が杯が到着した。その姿は小ぶりな白磁の高台丼の中で、人懐っこい懐かしい表情で迎えてくれる。この時ようやく頭の中でチャルメラが鳴り響いた。屋号からも待ち望んでいた姿そのものだった。流行りに流されないクラシカルな景色が店名と見事に一致する。まずはスープをひとくち。レンゲで香味油の膜を破ると、屋台のラーメンのような熱々の湯気が香味を伴って立ち昇る。それは意識的な香りではなく穏やかな風味に感じる。強烈な個性を持たすのではなく自然なスープの香りが脳に届いた。そのスープを口に含むと、鶏ガラスープと魚介出汁の旨みがバランス良く広がる。スープの材料すべての旨味だけを抽出し、あらゆるクセは排除した清湯醤油スープだ。香ばしい香りをほのかに感じるのは香味油からのものだろうか。少しだけスープに華を与えている。醤油ダレも現代人の趣向に反して抑えてあり、塩分過多になりやすい食生活の中では有り難い。麺は、あまり食べた事のない食感の麺だった。麺上げまで40秒の中細ストレート麺は、早茹でなのにグルテンが溶け出していた。スープがやや少なめに感じるせいもあるが、箸で持ち上げた時のさばけが悪く、もたついてしまう。スープの中で麺をほどくようにして口に運ぶと、低加水に思えるのに滑らかな口当たりが不思議だ。パツッでもなくモッチリでもない食感で未体験のゾーンに引き込まれる。噛めば鮮烈な印象はないが、柔らかな小麦の香りが口に広がる。あとで復習したところ、岩手県の製麺所の麺とのこと。後付けになるが、たしかに田舎っぽい麺だと思った。しかしそれがまたスープに馴染んでいて好相性だ。具材は昔ながらの要素はない焼豚だが、丁寧に仕込まれたチャーシューが二種類。調理場には流行りの豚肩ロースの低温焼豚もあったが、デフォでは付かないようだ。デフォでは鶏チャーシューが乗っていた。レアチャーシューのような生っぽさのない鶏ムネ肉が厚切りで一枚。レア感こそないが繊維を感じるしっとり食感が肉々しい。さらに下味のマリネ液には白胡椒などのスパイスがしっかりと利かせてあるので淡白な肉質を、風味豊かな食べ応えに変化させている。一方の鶏モモチャーシューはロール型で鶏肉本来の旨みを閉じ込めてある。その上、漬けダレが浸みているので、一つの料理としても完成している。スープに合わせて薄味のチャーシューを合わせてくるかと思いきや、スープにも負けない旨みを発する両者には恐れいった。追加の味玉はサッパリとした卵本来の持ち味を活かすような味付けで、私の好みとは違っていた。残念ながら黄味にも熟成感はない仕上がりで今にも流れ出してしまいそうだった。あえて個性を抑えてあるような気もするが、個人的にはもう一日半くらい漬け込んだ味玉を食べてみたいと思った。メンマは食感が特徴的は中太メンマ。完全発酵ならではの独特の発酵臭がドンピシャの好みで、それを活かす程度の優しい醤油味が素晴らしい。食感は残すが繊維質は残さない下処理にも仕事の丁寧さが表れている。業務用メンマが普及する以前は、当たり前のように各店の手作りメンマが主流だった頃は良い時代だった。薬味は昔ながらの王道をいく細かく刻まれた白ねぎと青菜、ナルトと海苔のフルバージョン。細やかな白ねぎは軽やかな香りと食感を与えて、青みの小松菜は見た目と苦みでアクセントを付ける。ナルトは見た目で華を与えてくれるが、原材料に不安があるので今回もパスした。十字4切の大判の海苔はラーメン屋では、お目にかかれないような高品質。香りが高くスープには溶け出さない強さがあるのに、口の中では一瞬で溶けていく。余韻に磯の香りだけを残して消えていく上質な海苔を選ばれた眼識の高さに驚いた。中盤あたりから初動では感じなかった不自然な旨味が顔を出し始めて下アゴの奥から唾液がにじみ出てきた。昔懐かしいさを表現するのに必要な旨味成分かも知れないが、頼らなくても十分に旨みに富んだスープだと思うので個人的には残念な結末。子供たちにも毎日食べさせられるようなラーメンになればと、さらに高い願いを抱いてしまうほど愛情がこもった一杯でした。
〝さすらいの未訪問店めぐり〟
小鳥のさえずりと共に目覚めたかのような気持ちの良い朝、新規開拓のためコーヒー片手にRDBに向き合う。ニューオープン情報を見ていると、またまたネーミングセンスに富んだ店を見つけた。お店情報を見ると開業への経緯も面白く、レビュー数も少ないので先入観なしで味わえると思い初訪問を決めた。
新店なのでオープン特需もあるかと思い、11時開店前の現着を狙って自宅を出た。山手線を品川駅で京急線に乗り換えれば25分ほどで京急蒲田駅だ。最寄駅は京急空港線で一駅先の糀谷駅だが乗換えが面倒で歩いて向かう事にした。
殺風景な東口を抜けて大きな通りを15分ほど歩くと糀谷商店街を過ぎた脇道に開店祝いの花の飾られた店を見つけた。すでにお一人の並びがあり二番手をキープ。修行先だろうか多くのラーメン店からも開店祝いの花が届いていた。道中で予習していた屋号の由来とはイメージの違うロゴデザイン。オシャレな外観は女性客にも受け入れやすそうに見えた。
定刻ちょうどに、ご主人自ら暖簾を掛けてオープンとなる。券売機のヘッドライナーを飾る醤油味のお題に味玉が付いたものを発券し、カウンターの奥から詰めて腰を下ろす。店内を見渡すと外観と同じく洒落た内装だった。屋号の由来の〝チャルメラ〟からは昔懐かしい雰囲気の内装かと予想していたのだがハズレた。しかしこの内装も30年も経てば、昔懐かしく感じるのかも知れない。そんな今っぽい店内を三人体制で回している。
調理場に目をやると奥のガス台では鶏ガラスープと魚介系スープが別々の寸胴鍋で仕込まれている。どちらもスープ炊きには小さめの寸胴鍋で、魚介系スープの方は沸騰させないように温度計で抽出温度が守られていた。目の前には黙々と調理の準備をするご主人の後ろ姿が見えるが、いかにも旨いラーメンを作りそうな大きな背中だった。
今風でオシャレではあるが不思議と居心地の良い席に着いて8分ほどで、ワンロット2杯の丁寧なオペレーションにて我が杯が到着した。その姿は小ぶりな白磁の高台丼の中で、人懐っこい懐かしい表情で迎えてくれる。この時ようやく頭の中でチャルメラが鳴り響いた。屋号からも待ち望んでいた姿そのものだった。流行りに流されないクラシカルな景色が店名と見事に一致する。
まずはスープをひとくち。レンゲで香味油の膜を破ると、屋台のラーメンのような熱々の湯気が香味を伴って立ち昇る。それは意識的な香りではなく穏やかな風味に感じる。強烈な個性を持たすのではなく自然なスープの香りが脳に届いた。そのスープを口に含むと、鶏ガラスープと魚介出汁の旨みがバランス良く広がる。スープの材料すべての旨味だけを抽出し、あらゆるクセは排除した清湯醤油スープだ。香ばしい香りをほのかに感じるのは香味油からのものだろうか。少しだけスープに華を与えている。醤油ダレも現代人の趣向に反して抑えてあり、塩分過多になりやすい食生活の中では有り難い。
麺は、あまり食べた事のない食感の麺だった。麺上げまで40秒の中細ストレート麺は、早茹でなのにグルテンが溶け出していた。スープがやや少なめに感じるせいもあるが、箸で持ち上げた時のさばけが悪く、もたついてしまう。スープの中で麺をほどくようにして口に運ぶと、低加水に思えるのに滑らかな口当たりが不思議だ。パツッでもなくモッチリでもない食感で未体験のゾーンに引き込まれる。噛めば鮮烈な印象はないが、柔らかな小麦の香りが口に広がる。あとで復習したところ、岩手県の製麺所の麺とのこと。後付けになるが、たしかに田舎っぽい麺だと思った。しかしそれがまたスープに馴染んでいて好相性だ。
具材は昔ながらの要素はない焼豚だが、丁寧に仕込まれたチャーシューが二種類。調理場には流行りの豚肩ロースの低温焼豚もあったが、デフォでは付かないようだ。デフォでは鶏チャーシューが乗っていた。レアチャーシューのような生っぽさのない鶏ムネ肉が厚切りで一枚。レア感こそないが繊維を感じるしっとり食感が肉々しい。さらに下味のマリネ液には白胡椒などのスパイスがしっかりと利かせてあるので淡白な肉質を、風味豊かな食べ応えに変化させている。一方の鶏モモチャーシューはロール型で鶏肉本来の旨みを閉じ込めてある。その上、漬けダレが浸みているので、一つの料理としても完成している。スープに合わせて薄味のチャーシューを合わせてくるかと思いきや、スープにも負けない旨みを発する両者には恐れいった。
追加の味玉はサッパリとした卵本来の持ち味を活かすような味付けで、私の好みとは違っていた。残念ながら黄味にも熟成感はない仕上がりで今にも流れ出してしまいそうだった。あえて個性を抑えてあるような気もするが、個人的にはもう一日半くらい漬け込んだ味玉を食べてみたいと思った。
メンマは食感が特徴的は中太メンマ。完全発酵ならではの独特の発酵臭がドンピシャの好みで、それを活かす程度の優しい醤油味が素晴らしい。食感は残すが繊維質は残さない下処理にも仕事の丁寧さが表れている。業務用メンマが普及する以前は、当たり前のように各店の手作りメンマが主流だった頃は良い時代だった。
薬味は昔ながらの王道をいく細かく刻まれた白ねぎと青菜、ナルトと海苔のフルバージョン。細やかな白ねぎは軽やかな香りと食感を与えて、青みの小松菜は見た目と苦みでアクセントを付ける。ナルトは見た目で華を与えてくれるが、原材料に不安があるので今回もパスした。
十字4切の大判の海苔はラーメン屋では、お目にかかれないような高品質。香りが高くスープには溶け出さない強さがあるのに、口の中では一瞬で溶けていく。余韻に磯の香りだけを残して消えていく上質な海苔を選ばれた眼識の高さに驚いた。
中盤あたりから初動では感じなかった不自然な旨味が顔を出し始めて下アゴの奥から唾液がにじみ出てきた。昔懐かしいさを表現するのに必要な旨味成分かも知れないが、頼らなくても十分に旨みに富んだスープだと思うので個人的には残念な結末。子供たちにも毎日食べさせられるようなラーメンになればと、さらに高い願いを抱いてしまうほど愛情がこもった一杯でした。