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「味玉醤油らぁめん ¥880」@KaneKitchen Noodlesの写真日曜日 晴天 17:50 先待ち2名 後待ち4名

昼すぎの池袋の前食から3時間ほど経過すると腹が減ってきた。久しぶり池袋の映画館で時間をつぶしてエンドロールを迎える頃には夕方のごはん時となっていた。映画の内容がハズレだっただけに夜のラーメンは失敗できない。日曜日の池袋は避けようと、郊外へ走る沿線を中心に候補の店を探しているとBM店の中にこちらがあった。

お店情報などを見ていると、最新版の某タイヤメーカーのおでかけガイドブックにも選出された人気店のようだ。高まる期待を胸に、夜の部の開店前の現着を目指して池袋駅から西武池袋線に飛び乗った。

自宅からは遠く感じる東長崎駅も池袋からだと、あっという間に着いてしまった。東長崎駅から南長崎に向かう南口を出る。もはや東なのか南なのか分からない状況だ。いびつに入り組んだ駅前を抜けて長崎銀座とある味わい深い商店街を進むと、すぐにこちらがあるらしい。

マップでは商店街の右側にある事は確認していたが、手前にある昔ながらのおもちゃ屋さんに気を取られて二階にあるこちらを通り過ぎてしまった。しばらく進んでからそれに気が付き慌てて引き返すと飲食ビルにあるこちらを見つけた。階段を上がると店頭には開店10分前だが、すでに並びが出来ていた。階段の広い踊り場を利用した外待ち席に座り三番手をキープした。

入口には数々の掲載記事や受賞歴の証であるステッカーが貼られてある。真っ黒なロールスクリーンが下りているので。店内の様子は見えないがラーメンへの期待は高まる。行列も少しずつ増え始めた頃に定刻となりオープンとなった。

入店すると券売機で基本のお題と味玉を発券した。手書きの限定メニューもあるようだが、初訪問なのでブレる事なく貫いた。テーブル席も設けられた広めの店内のカウンターに奥から案内される。目の前には MLB ボストン・レッドソックスの本拠地であるフェンウェイパークのグリーンモンスターのような壁が高くそびえている。

そのカウンターから店内を見渡すと調理場の作業風景は全く見えず残念だが、その高い壁のせいでカウンター越しの配膳が出来ず、ホールスタッフが必要となっている。そのスタッフを含めた三人体制で回す店内はシックなカウンターが印象的。木目の板に屋根瓦のような焼き物が、ひと席ごとに埋め込まれている。何か深い意味があるのか、単なるデザインなのかは不明だがインパクトに残る。客層にも地元感が溢れて、ご近所さんらしき家族連れや、かなりの高齢の女性陣もテーブル席にいらした。

壁越しの作業を想像しながら待っていると着席して5分程でワンロット3杯のオペレーションの第1ロットにて我が杯が到着した。その姿は受け皿に乗せられた白磁の切立丼の中で官能的な表情を見せる。艶やかな鶏油の輝きとレアチャーシューの色合いが、そう感じさせる理由だろう。

まずはドットの大きな鶏油が液面を覆い隠した赤錆色のスープをひとくち。目の前に現れた時点で香った鶏油にレンゲを落とすと、更に地鶏ならではの野性味溢れる香りが湧いてくる。口に含むと瞬時に口内を油膜が覆う。鶏油自体は熱くはないが、その下のスープの温度はかなり熱い。そのスープは清らかに澄んでいるが、じっくりと丸鷄の旨味を抽出してある。スープにとろみがある訳ではないが、ぬめりを感じるのは昆布由来のぬめり成分のアルギン酸の効果だろうか。サラリとしているが、マッタリとも感じる不思議な感覚だ。醤油ダレはハッキリと主張してくるタイプで、香りも高い。旨味もあって香りもあるスープは日本酒ならば純米吟醸酒と言ったところだろうか。と思っていたら、舌を包み込むような痺れを感じてきた。残念ながら幾分か化調っているようだ。これは純米吟醸酒ではなく、アル添された吟醸酒と同じだ。

スープを諦めて麺へと進む。自家製の中細ストレート麺は麺肌に胚芽色の残る全粒粉入りのようだ。かなり細めの番手で切り出された麺は、切り刃のエッジを感じるくらいの茹で加減。麺上げまで30秒くらいだろう。かなりの細麺を箸で口に運ぶと、麺のエッジの隙間にスープが入り込み、たっぷりの鶏油が潤滑油となって一気に口の中に飛び込んでくる。すでに口内には油膜が張っているので口に入った麺は、縦横無尽に暴れまわる。麺にはエッジが立っているのに滑りの良い麺を編みしめると、暴れ馬のようだった麺からは内麦の持つ素朴な甘みが弾け出す。この動から静への変化が心地よく、食べ飽きする事はなさそうだ。

具材は低温調理されたチャーシューが二種類。まずは淡白と思われる鶏ムネ肉の方から。過去にも見た事がないほどの厚切りが圧巻だが、それだけではなかった。低温調理ながら鶏肉の肉質を熟知された調理技術も圧巻だった。巷によくある、なんちゃってレアチャーシューは鶏肉のタンパク質の固化を計算せずに筋繊維が固まらないままで仕上げられたグニュっとした食感を残す半ナマ肉が多い。しかしこの鶏チャーシューは、しっとりと柔らかいが筋繊維の一本一本が固まり独立しているのでレアながらもサクッとした歯切れの良さを生んでいる。徹底された低温調理の温度管理と絶妙な加熱時間が成せる業だろう。もちろんソミュール液の浸透も良く、下地の砂糖の擦り込みが効いているお陰で中心部までマリネされているのだろう。今まで食べた鶏ムネチャーシューではダントツのうまさだ。

官能的な印象の大部分を占める大判の豚肩ロースの低温焼豚は、見た目同様に印象に残るレアチャーシューだ。こちらも下味をしっかりと利かせてあるので生肉っぽさは皆無で、豚肉の赤身の持つ力強い旨味も残しながら漬けダレも浸みている。スープの熱変化で食感の違いも楽しめる点も良かったが、赤身をつなぐスジの部分が噛み切れず口に残ってしまったのが少し残念だった。丁寧なスジ切りがあれば完璧だった。

追加の味玉は私の好みからは外れていた。味の浸み込んでない白身や熟成感のない黄身は、半熟のゆで卵と変わりないように思えた。上質の卵の持ち味を活かしたタイプのようだが、味玉としては寂しく感じた。

メンマは中太タイプで硬めの食感が特徴。歯を立てると最初は抵抗がかかるが、いざ切り目が入るとザクザクと噛み切れる心地良さがある。味付けも控えてあるが、麻竹の香りを楽しむには程よい醤油感。

薬味は白葱の芯の部分を取り除いた外側の食感の良い部分だけが角切りで添えてある。スープで加熱され甘味が出てきた白葱はスープとの相性は良く思えたが、麺と絡む事は少なかった。しかしそれが狙いなのではと思うくらいに麺は薬味を必要としなかった。

青みと香りの二役を演じるはずの三つ葉は、たった一本の葉先だけでは二役は荷が重すぎる。見た目の青みだけで精一杯で、香りの役目は果たしきれなかった。

確固たるポジションを確立した、鶏清湯系のスープだったが、謎の旨味成分に脳が支配されてしまってスープは飲まずに箸を置いた。ベースの鶏出汁が滋味溢れる重なりを感じるスープだっただけに、まとめ役だか底上げだか分からないが旨味を補填する必要があるのだろうかと思ってしまった。

しかし今日は鶏ムネチャーシューを知れただけでも訪れた甲斐のあると思える一杯でした。

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