The Noodles & Saloon Kiriyaの他のレビュー
コメント
作り手は、この投稿を読んで喜んでいる事でしょう…。
再訪の機があれば、是非別メニューも。
Dr.KOTO | 2019年1月28日 20:18比較的空いてる時間なんてあるのでしょうか。
のらのら | 2019年1月30日 17:04聞いた話ですと、11時から12時くらいの間が比較的穏やかな営業時間帯らしいです。
…あくまで「らしい」レベルですので、断言は出来ませんがw
Dr.KOTO | 2019年2月9日 07:58十分なディテール伝わってきます。よく表現できますね。
KOTOさんと同じで喜んでると思います。
虚無 Becky! | 2019年2月22日 23:31好きなものには饒舌になるんですかね。苦手なものにも、そうなるのは直さないとです。
のらのら | 2019年2月23日 01:06

のらのら
ぴろリポ
Stag Beetle
satoru
けNぢ






いよいよ正月気分にも別れを告げ、新規開拓に身を乗り出す。年に数回しかない日の出よりも早く目覚めた朝にRDBに向き合う。まずは課題となっているBM店の中から候補の店を探してみると〝無化調〟のカテゴリーの中にこちらを発見。お店情報を見てみると土日は早朝9時からの営業となっている。何とも連食向けではないかと初訪問を決めた。
開店時間に合わせて午前7時半には自宅を出た。山手線からつくばエクスプレスと東武アーバンパークラインを乗り継ぐといった、なかなか困難な道のりを1時間半近くをかけての現地入りを目指す。
無事にトラブルもなく最寄駅の初石駅に着いた。素朴な駅の改札を抜けて、味わいのある駅前を5分ほど進むと突然に整列していない20名程の人だかりが見えてきた。慌てて駆け寄るると、ラーメン屋のようには見えない和菓子屋のシャッターの前にはウェイティングシートが置かれてある。どうやら、これに名前を記入して呼び出しを待つシステムのようだ。まさか朝からこんなに人が並んでいるとは、人気店を少し甘く見ていた。
先客に続いて名前を記入すると定刻になり、シャッターが開き一巡目の入店が始まる。半数近くは入店したが、私の番までは程遠く二巡目も危ういくらいだ。ただ有難いのは呼び出しを待つシステムなので整列する必要がなく、好きな場所で待っていれば良いので、真冬の寒さからは幾分か身を守れることだ。鬱蒼とした林の前の陽だまりを見つけて北風をしのぎながら、しばらくの待機となる。
店頭にあるメニューを参考に本日のお題を品定めする。メニュー名からはイメージが伝わってこないが、ウンチクを読む限りでは基本と思われる Kiri_Sobaとやらにしようと決めた。
開店して40分で第一陣が退店し始めると、少しずつ先へと進む。二巡目が案内される頃には限定の、蛤Kiri_Sobaは完売となった。それからしばらくして、ようやく開店後90分で入店となった。
店内に券売機は無く卓上メニューから口頭注文スタイル。あらかじめ決めておいたメニューに味玉追加を告げてから店内を見渡す。表の和菓子屋の看板からは想像もつかない洒落た店内は海沿いのカフェのようだ。白とスカイブルーにペイントされた壁や窓枠に無垢材のカウンターとテーブル。そんな店内をお二人で回しているが、独立した調理場とホールとの導線は非常に悪く回転率の悪さが理解できた。調理場内には大きな冷凍ストッカーがセンターに鎮座している。この規模の店では見かける事のないサイズのストッカーだ。大量の冷凍ガラを保管する為だろうか。
休日の客層は若い方々多く挨拶の様子からも、ご近所さんのようである。そんな様子を見ていると回転率を悪くしている理由があった。それは、ほとんどの客が追加している「和え玉」の存在だ。更にはデザートの「いちご杏仁」を食べている客も多い。この客単価を上げる事で滞在時間が長くなり、回転率を悪くしているようだ。
着席して待つこと25分で我が杯が到着した。白磁の口縁の反った切立丼の中の姿は、ひと目惚れしてしまう程に美しい容姿で、待ちに待った私を出迎えてくれる。丁寧な盛り付けからも提供時間がかかるのは仕方なくも思える。
まずは焦がしネギの浮かんだ濃いめの赤銅色のスープをひとくち。何よりも嬉しいのはスープの熱々の温度だ。厚めの鶏油に守られて熱さを保っているスープは、外待ちで冷えた身体に染み渡っていく。味覚の上でも尖った個性やクセのないスープも、点滴のように自然と身体に染みていく。鶏ガラや豚ゲンコツの動物系スープの土台に、鰹節や昆布などの魚介の和出汁が加わる事で親しみやすいスープに仕上がっている。丸鶏も余計なコクは出さずに旨味だけを引き出してあるのもクセを感じない理由かと。タイトルにもあるようにカエシの醤油や本みりんも主張し過ぎずにスープに輪郭を付けている。そこに複雑味を持たせる乾物類が肉付けをし、スープに厚みを与えている。スープをひとくち飲んだだけで作り手の思いが伝わってくるスープに久しぶりに出会った。
麺は中細ストレート麺で。切り刃の角を見てとれる茹で加減。箸で持ち上げると、しなやかさはあるがハリの強さも感じる。いざ麺を啜ると、滑らかな麺肌が唇に当たったと思ったら一気に口の中に飛び込んでくる。パツンとした小気味良い歯切れが特徴で噛み切る楽しさが、この麺にはある。小麦の香りは高いわけでは無いが、麺のエッジ間が吸い上げたスープとの一体感で箸が加速する。噛めば軽やかな甘みの余韻を残して喉奥へと消えていく。
具材は焼豚が二種類。調理法も部位も異なり、豚肩ロースは低温調理が施され、しっとりとした肉質が楽しめる。提供時は少し生っぽさが残るので、私の好みはスープで加熱して赤身の繊維が締まった頃が食べ時かと。生っぽいが下味のソミュール液が効いているので、味付けは絶妙だ。一方の豚バラは煮豚型で、赤身と脂身のバランスの良い部分を使ってあるので、両方の良さを味わえる。柔らか過ぎない仕上がりなので、赤身の旨味を残した肉質と、とろけすぎない脂身の食感もさり気なくてしつこくない。
追加した味玉には更に驚かされた。スープ熱が伝わったのではなく、明らかに予熱で温められた味玉は黄身が固まる寸前の温度が保たれて熱さを感じるほどである。この絶妙な温度で提供される味玉は、私の知る限りでは数えるほどの店しか無い。もちろん温度だけではなく、味の浸透も熟成も素晴らしい。醤油の塩分だけではなく、先に甘味を浸透させる事で白身の組織に隙間を作り、その隙間に塩気を浸み込ませているのだろう。それでなければ、この柔らかくも熟成した味玉は有り得ない。この役目も流山本みりんが果たしているのだと思った。
細切りメンマも丁寧な仕事が表れていて、適度な発酵臭を残したメンマからは、独特の麻竹の香りが噛むたびに染みてくる。その香りを引き立てる味付けも食感も抜群の仕上がり。柔らかいが適度な食感を残したメンマはアクセント役を十分に演じている。
薬味は繊細な白髪ねぎとは言いがたいが、これもスープの加熱によって、白葱本来の辛味が甘味に変化している。程よい食感と特有の香りと甘味が麺に寄り添ったり、スープのアクセントになったりと自由自在に脇を固める。非常に細やかな焦がしネギも、苦味よりも香ばしさだけを与えていて出しゃばる事なく、醤油ダレとの相性の良さは見事に計算されていた。ただ青みのカイワレは残念ながら、彩りとしても薬味としても存在感は無かった。
寒さもあってか、せっかくの待ちに待ったラーメンも3分程で平らげていた。それほど夢中になれるラーメンだったのは間違いない。回転率の悪さなど気になる点はあるが、目の前のラーメンの評価には考慮しないと決めているので、初見ながらも大台を突破した。本年初の90点超えである。
こちらのラーメンなら再訪は必至だが、帰る頃には行列もなくなり、直ぐにでも着席できる状況だった。私の中では華々しい鮮烈なデビューを果たしたラーメンだったので着丼まで2時間かかっても来た甲斐のある新規開拓だった。しかし次回は土日の9時ではなく11時頃を狙って来た方が良さそうだなと思い直した一杯でした。