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「こんにちは~」。いつもの柔らかい女性店主の声に出迎えられ、この日の極上タイムは始まった。休日の午後、独りで多少の後ろめたさを抱えながら訪問する秘密の小部屋。14時半過ぎという中途半端な時刻でもあり、競合はなし。よしっ。今日はこの時間を独占できるかもしれない。手書き文字のメニュー、卓上には待ち時間対策の知恵の輪や扇子など、女性らしい細やかな気配り溢れる空間が心地良い。6年前のオープン以来、八王子系をベースにしながらも、数多くの創作的な一杯を輩出している同店。折に触れてそれらをいただいてきた私。でもこの日は原点に戻ってデフォの一杯をオーダーすることにし、券売機で醤油ラーメン(650円)の食券を購入。店主ホームポジションの目の前へ。食券を手渡す際にちょっと手と手が触れる。どぎまぎしていると、「胡椒麺、唐辛子麺と普通のたまご麺から選べますが?」。「じゃっ、たっ、たまご麺でっ!」と私。二人きりの無言の空間で黙々と進む調理。おそらくは私だけが感じているであろう緊張感。適時準備される丼とスープ。テボを使った男性顔負けの力強い湯切り。スープに麺を投入した後は、整麺とトッピングでエピローグを迎える。「お待ち遠さまでした」。白いベーシックな反り丼には濃いめの清湯醤油スープ。上にはバラロールチャーシュー、八王子系の証左である刻みタマネギ、細切りメンマ、同系としては珍しい岩海苔と店名にもなる同店独特のあずきが3粒。水面下に覗くのは八王子系らしい中細ストレートの自家製麺。さて店主の作品と向き合おう。先ずスープ。これほど動物系が野太かったかな、と思うほどしっかりした清湯豚骨と店名由来の小豆出汁。ここに八王子系らしい醤油ダレが合わさり、且つ表面を覆う潤沢なラードが出汁感の後方支援に回る。ここに極上のバトルステージの出来上がりだ。ガウンを脱ぎ捨てた自家製麺。切り刃24~26程の中細ストレート。茹で加減は充分なしなやかさを担保するレベルでちょうど良い。破断感はザクザクとした小気味の良いもの。音を立てて啜り上げると極上のスープを纏った麺が口に飛び込んできて、ツルリと喉を滑り落ち胃の腑に収まって行く。嗚呼至福。細かすぎず粗すぎず中庸に刻まれたタマネギは、次第にそのエキスをスープに放出し、スープはその表情を徐々に変えて行く。それをその上で見つめるあずきが何とも可愛いらしい。彼女のチョイスした岩海苔は、板海苔に比べて風味が強めで、コチラもスープを変貌させるトリガーとなる。味付け薄めで肉々しいチャーシューと、コリコリと食感の楽しい細切りメンマも名サポーターだ。名残惜しく麺やスープを慈しみながらも、やがて全てが終了する時は来てしまう。空になった丼を高台に上げながら、高台上部に掛けられた簾に来店客が残した名刺について店主に問いかけ、1分間ほど会話ができたのは僥倖。入口の扉を開けながら、背中で受け止めた店主のお礼の一言で、この日20分余りの独占タイムは、余韻を残し幕を下ろした。(了)同店、デフォの醤油らーめんが650円と、八王子系としては高めの価格設定。6年前のオープン当初に550円だったものが適宜価格改定されたもの。それが自然体でできる同店、素敵です。ともすれば八王子系=ワンコインという括りで語られることが多いけど、コスト削減に腐心する余りクォリティが落ちたり、店自体が立ち行かなくなって、困るのは私たちなんだよな、と改めて考えさせられた一杯でした。
好みで麺を選択出来るのは面白いですね! 大台の満足度!いつか訪問してみたいです。
YMKさん、こんにちは。 八王子系といえば、古くからあるお店に評判の良い店が多い中、ここ数年の間にオープン した店の中では出色の優良店だと思います。 いずれ一度w
6年前のオープン以来、八王子系をベースにしながらも、数多くの創作的な一杯を輩出している同店。折に触れてそれらをいただいてきた私。でもこの日は原点に戻ってデフォの一杯をオーダーすることにし、券売機で醤油ラーメン(650円)の食券を購入。店主ホームポジションの目の前へ。食券を手渡す際にちょっと手と手が触れる。どぎまぎしていると、「胡椒麺、唐辛子麺と普通のたまご麺から選べますが?」。「じゃっ、たっ、たまご麺でっ!」と私。
二人きりの無言の空間で黙々と進む調理。おそらくは私だけが感じているであろう緊張感。適時準備される丼とスープ。テボを使った男性顔負けの力強い湯切り。スープに麺を投入した後は、整麺とトッピングでエピローグを迎える。
「お待ち遠さまでした」。白いベーシックな反り丼には濃いめの清湯醤油スープ。上にはバラロールチャーシュー、八王子系の証左である刻みタマネギ、細切りメンマ、同系としては珍しい岩海苔と店名にもなる同店独特のあずきが3粒。水面下に覗くのは八王子系らしい中細ストレートの自家製麺。さて店主の作品と向き合おう。
先ずスープ。これほど動物系が野太かったかな、と思うほどしっかりした清湯豚骨と店名由来の小豆出汁。ここに八王子系らしい醤油ダレが合わさり、且つ表面を覆う潤沢なラードが出汁感の後方支援に回る。ここに極上のバトルステージの出来上がりだ。
ガウンを脱ぎ捨てた自家製麺。切り刃24~26程の中細ストレート。茹で加減は充分なしなやかさを担保するレベルでちょうど良い。破断感はザクザクとした小気味の良いもの。音を立てて啜り上げると極上のスープを纏った麺が口に飛び込んできて、ツルリと喉を滑り落ち胃の腑に収まって行く。嗚呼至福。
細かすぎず粗すぎず中庸に刻まれたタマネギは、次第にそのエキスをスープに放出し、スープはその表情を徐々に変えて行く。それをその上で見つめるあずきが何とも可愛いらしい。彼女のチョイスした岩海苔は、板海苔に比べて風味が強めで、コチラもスープを変貌させるトリガーとなる。味付け薄めで肉々しいチャーシューと、コリコリと食感の楽しい細切りメンマも名サポーターだ。
名残惜しく麺やスープを慈しみながらも、やがて全てが終了する時は来てしまう。空になった丼を高台に上げながら、高台上部に掛けられた簾に来店客が残した名刺について店主に問いかけ、1分間ほど会話ができたのは僥倖。入口の扉を開けながら、背中で受け止めた店主のお礼の一言で、この日20分余りの独占タイムは、余韻を残し幕を下ろした。(了)
同店、デフォの醤油らーめんが650円と、八王子系としては高めの価格設定。6年前のオープン当初に550円だったものが適宜価格改定されたもの。それが自然体でできる同店、素敵です。ともすれば八王子系=ワンコインという括りで語られることが多いけど、コスト削減に腐心する余りクォリティが落ちたり、店自体が立ち行かなくなって、困るのは私たちなんだよな、と改めて考えさせられた一杯でした。