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「淡成らー麺」@麺や紡の写真東大阪市に所用があるという滅多に無いチャンスに恵まれ、「自動的」にここ「麺や紡」へ再訪。








訪問時刻は昼の12時過ぎ。混雑タイムにストライクと思いきや、先客は2人だけで空いている。
今回注文したのは「淡成らー麺」。
味玉をオプションで加えるかチャーシュー丼を頼むかしたかったのだが、この日はここぞとばかりに
連食予定だったので、あえなく断念した。

待っている間に若き店主の作業風景を見るともなく見る。
彼はデポに入れられて茹でられている麺をこれでもかとばかりに入念にかき混ぜている。
強く、速く、そして長く。
あれは茹でムラを無くすためかカン水のアルカリ性をなるべく麺の外に逃がすためか、ほぐれやすくするためか、
あるいはその全てなのか。
その辺りはわからないが、とにかくあそこまで、それこそ執拗なまでに混ぜる人を見たのは初めてだ。
その後は、麺をデポから平ザルに移して湯切り。これもなかなか力強い。
嬉しくなる程の徹底振り、もしくは食べ手への気遣いである。
ただし前回「熟成らー麺」を食した際に私が感じた麺の表面のモロモロ感、もしくはこまさんの「淡成らー麺」の
レビュー、「後半は、少し溶けてスープが若干濁っていました」の原因かとも思わされたのも事実。
麺表面が傷ついていたのかもしれない、と。

そうこうしている内にラーメンが到着。

○ 淡成らー麺

・スープ

前回の熟成らー麺では、眼前に鉢が供された際に漂った鶏の芳香につられて、鶏の旨味を一番に感じた(探した)。
しかし今回は魚介系の香りにつられ、魚介系のテイストを一番に感受。
煮干し&節系である。
煮出され方(ないし、味そのもの)というよりも利かされ方の妙を感じるテイストだ。
「響き」が良いのである。
ただし鶏系出汁も負けていない。
こちらの方は煮出され方も利かされ方も良い。「演奏音」も「響き」も素晴らしい。
鶏の旨味とはこういうものを指すのだと言いたくなるような美味さだ。
煮干しと節がそのハーモニーを活かしたアンサンブルを担当する楽団員ならば、鶏はコンサートマスターのよう。
いやはや。この鶏の旨み、惚れましたぜ。
そして「調律」を取る指揮者のような存在なのは、醤油ダレだ。
出汁の旨味だけではなく後述する麺や具も含めた全ての旨味を引き立てつつ、自らの色も出すという
珠玉のタクト捌きである。
素直に美味いと感嘆させられた。

・麺

小麦だけではなく「熱風焙煎」された「大麦」が用いられているという、何やら耳慣れない語が並ぶ自家製麺。
全粒粉とはまた異なる類の、ややビターなテイストを特徴の一として有す。
前回訪問時の熟成らー麺を食している際は、この麺に関していくつか気になる点があった。
詳細は割愛するが、まあ簡単にいえば「ぼやけた」印象を抱いたのである。
しかし今回の淡成らー麺においてはそれを抱かず、麺の質の向上が伺えた。
製麺、熟成・保存、湯掻きのどの段階を変えたのかは素人の私には想像もつかないが、
とにかく「変わった」ように伺えたのである。

大麦由来と思しきビターテイストは、前回食した麺に比すと影を潜めたかもしれない。
前回が「普通に」だとか「少し」だとすれば、今回が「かすかに」という程度と感受。
否定的にいえば「味気なくなった」ともいえそうが、肯定的にいえば「綺麗な味わいになった」といったところだ。
実は前回このビターテイスト自体をそんなに好きではないと感じた私には、今回の「かすかに」で丁度良い。
また、麺の表面が少し強化されたのか、モロモロと崩れることはない。
上で述べた店主の「強い」湯掻きと湯切りにもある程度耐え得る強度に高められており、
麺内側の旨みが「ぼやっと」スープ中に溶け出すこともなくなっている。
だからだろうか。
風味自体は弱まっているにも関わらず、「輪郭」がもう少しだけ鮮明になったように感じられるのである。
外に漏れ出すことなく、内側に込められている「かすかな」ビター風味。
前回よりも今回のフレーバーの方が私は好きだ。

噛み応えも面白い。
小麦だけでなく大麦も使っている分だけグルテンが少ないためなのか、この麺には中華麺特有の
表面が「張っている」ような弾力はない。
しかしそうかといって、あっさりと噛み切れるわけでもない。
内側は粗挽きだが密度が高そうな質感を有し、噛み切られるまでに少し「粘る」のである。

かすかに漂わせられた大麦のビターテイストと粘りのある噛み応えが特徴的な自家製麺。
これがスープ中の醤油ダレによる調律の下、鉢の中でその魅力を伸び伸びと発揮しているのである。

・具

炙りロールバラ肉チャーシューに葱、メンマ、ナルト、海苔等。
熟成を食した際にはこのチャーシューを「可もなく不可もなく、比較的食べ慣れたオーソドックスな味付け」
と感じた。
もう少しで開花しそうなカリスマ性を垣間見た気がしたスープに比して、少し見劣りする感もした。
しかし淡成においては、そのオーソドックスさがスープとの相性が良いと感じられる。スープと馴染みの良い具材の一として、美味しく味わえるのである。

ところで、こまさんが言及されている「八角」に関して。
「八角?」とばかりに某検索エンジンにて「チャーシュー 八角」で検索してみると
(余談だが、「ググる」というのは何か抵抗が…)、レシピが書かれたページが結構見つかる。
案外珍しくないのだろうか。
もしそうだとすれば、私はこれまで幾度となく八角が用いられたチャーシューを食してきているはず。
テイストを「オーソドックス」と表現したくなるのもそのためだろうか。

○ 千変万化 ~完成度、微調整、ブレ~

インパクトの大きさやポテンシャルの高さこそ熟成らー麺に譲れど、完成度の高さにおいては
淡成らー麺に軍配が上がる。
そんな印象を抱かされた。

しかし私の抱いた印象も、ある意味では当てにならないだろう。
自家製麺、無化調、開店6ヶ月目、若い店主、オリジナリティーの高いラーメン。
何せこれだけのファクターが揃った店だ。
今後もテイストの微調整・マイナーチェンジが繰り返されるであろうし、まだ若い彼には想定できない
諸々の事情による「ブレ」だって生じるであろう。
しかもそれを食すのは、刺激受容体やそれに基づく知覚と認識、経験に基づく「気づき」、
ボキャブラリー等が各々異なっている食べ手たちなのである。
だからこの店のラーメンが数え切れない程の「顔」を持ち、その都度変化させるのは必定だ。
その証拠の一つといっては何だが、私も含めここのレビュワーたちの言っていることがバラバラなのも、
また道理なのである。
全てのレビューが同じぐらい当てになり、同じぐらい当てにならない。
そんなところだ。

いつかはテイストも安定するのかもしれないし、あまり「振幅」もなくなるかもしれない。
店主としては、きっと今は産みの苦しみの段階なのだろう。
しかし食べ手である我々としては、「産みの楽しみ」である。
何せ変化を楽しめるのだから。
食べ手によって、あるいは同じ食べ手でも日によって相貌を異にするこの店のラーメンは、
まさしく今が食べ頃なのかもしれない。

○ 最後に

淡成らー麺。
私がこの日頂いたものは鶏、煮干、節の煮出され方の妙を感じるスープ、大麦由来のビターテイストと
粘りのある噛み応えが特徴的な自家製麺、スープと馴染みの良い具が実に美味かった。
また、未食であり、この店に訪問予定の方の前ではどんな「顔」を見せるのか。
予想のつかない一杯でもある。
熟成らー麺も併せ、幅広い層の方々にお勧めしたい。

投稿 | コメント (2) | このお店へのレビュー: 2件

コメント

poly-heteroさん、こんばんは!

この間こちらに行った時には、「今日こそ、きちんと作業風景を見たい! そして出来る事なら、チャーシューについて質問を・・」とカウンターに座ったのですが、隣りで連れがうるさくて。 -_-\"
麺を茹でる時・・・・そぉでしたかぁ。
チャーシューのスパイス感(中華系のモノのように思えるんですけど・・)が、気になるんですよねぇ。
「全てのレビューが同じぐらい当てになり、同じぐらい当てにならない。」
確かにです。 >_<。。
同じ「熟成」を頼んで食べたのに、チャーシューの感想が連れと自分とでは違ったし。 ^^:
『紡』は、好みで美味しいというだけではなく、毎回なんらかの変化(?)を探すのが楽しくて面白くなっています!

こま | 2009年4月8日 16:17

こまさん コメント等ありがとうございます

>「今日こそ、きちんと作業風景を見たい! そして出来る事なら、チャーシューについて質問を・・」とカウンターに座ったのですが、隣りで連れがうるさくて。 -_-\"

週末の楽しみ、しかも好きなラーメン屋となると、テンションもハイになるというものなのでしょうかね~。
次回訪問時には、事前にこう言ってみてはいかがでしょうか。
「ラーメンの作り方が普通と少し違っていて面白いらしいよ。次に行くときには、黙ってじっと見てみましょうよ」
これで連れの方も…。

>チャーシューのスパイス感(中華系のモノのように思えるんですけど・・)が、気になるんですよねぇ。

もしあれでしたら、一度八角を使ったチャーシューを作ってみてはいかがですか?
謎が氷解するかもしれませんし、もしそうでなくともこまさんの料理のバリエーションが増えますし。

>『紡』は、好みで美味しいというだけではなく、毎回なんらかの変化(?)を探すのが楽しくて面白くなっています!

あの店のテイストの変遷を楽しめるだなんて、素直に羨ましい限りです。本当。
私の住むところからは物理的にも心理的にも遠い…。

では~

poly-hetero | 2009年4月9日 23:17