味噌らーめん 山道家の他のレビュー
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のらのらさん、こんにちは。
自分もサウナーなので、太古の湯には数年くらい前に何回か行ったことがありますが、
テントサウナは未体験です。これは試してみなければ・・・
こちら、店名は「山道家」に変わった?んですかね。
屋号からは家系を想像しちゃいますが、そうではなさそうということで。
近々、私も行ってみようと思います。
ぬこ@横浜 | 2019年10月14日 08:55ねこさん、はじめまして。レビューの少ない神奈川エリアでのご活躍には以前から感謝しておりました。高得点を乱発しないあたりにも、信用できる数少ないレビュアーさんのお一人です。
なんでも太古の湯には、サウナの食事処なのに1日で70杯も売り上げた名物ラーメンがあるそうなので、そちらのレビューも楽しみにしてます。今後ともよろしくお願いします。
のらのら | 2019年10月15日 11:18

のらのら
ホワイトファング
Ramen of joytoy
千年







〝ニューオープン 探検記〟
店の前に立った時に何よりも驚いたのが、店名が「山家道」ではなく「山道家」だった事である。
ここまでの経緯を時系列で記していくので、前半が長くなる事をご了承いただきたい。
先日から神奈川県内での新店めぐりを行ない、江ノ島で新たな一杯との出会いを果たして (実際には二杯) 大満足で江ノ島駅を後にした。まだ午後2時すぎだったが、神奈川遠征での目的の一つでもあった平塚のサウナへと向かった。
レトロな風情あふれる江ノ島駅からは、引退間際の旧型車両が新型車両に牽引されて走っていた。これが私の生活と重なって見えてしまった。さえない中年男がピチピチの若いキ◯バ嬢に、アフターで連れ回されてるような光景に映った。そんな人生の縮図を見るような江ノ電に乗って藤沢駅までやって来た。さらに東海道線に乗り継ぐと、あっと言う間に平塚駅に着いた。そこからは西改札口を抜けると、徒歩2分で目的地の「太古の湯 グリーンサウナ」の看板が見えてきた。サウナーの間では他にはない変わったサウナがあるので有名なのだが、初めて訪れる私はベテランの地元勢の迷惑にならないように気を引き締めて門をくぐった。
特にカプセルホテルや予約が必要な個室がある訳ではないので、日帰り入浴で入っておいて泊まるならば大部屋の好きな所で寝て、翌朝に宿泊料を支払えば良いシステムのようだ。私は早めに風呂を浴びたら神奈川県内ではエグいと評判を聞いていた、平塚の夜のネオン街へと繰り出す作戦だったのだが、途中外出は不可なので仕方なく平塚ナイトを諦めた。そうなれば時間は持て余す程あるので、余計な欲を忘れてサウナライフに集中するとした。
まずは全身を洗って身を清めてからドライサウナに入った。広いサウナ室内には様々な温度帯が楽しめるように、ひな壇が複雑な形で造られている。その中でも最も高温になるサウナストーブの近くの最上段が空いていたので、新参者ながら座らせてもらった。サウナ内のテレビでは秋の G I 開幕を告げる、スプリンターズステークスが放映されている。私も〝ラ活〟を始める前は〝馬活〟に心血を注いでいた時期もあったが、最近は熱も冷めて、クラシック三冠と年末の有馬記念を買う程度の競馬ファンになってしまった。今でも酔っ払うと、第110回 天皇賞での帯札を何束も手にした時の事を、若い競馬ファンに自慢する悪いクセが出てしまう。圧倒的1番人気だった春の天皇賞と宝塚記念を制した名馬ビワハヤヒデを外して、ネーハイシーザーとセキテイリューオーを軸にして買った馬連馬券が見事的中。当時は三連単の発売がなかったので、このレースでの最高配当額を手に入れた。そんな懐かしいレース回顧をしながら、10分ばかりサウナにいたのだが汗が出てこない。確かに熱源近くの最上段なのに全く熱くなく、一向に発汗作用が表れない。休日の午後なので入浴客が多く、扉の開閉回数も必然的に多くなっているのが原因だろうか。
15分経っても薄っすらと汗ばんできた程度なので、一度リセットするために水風呂に入った。ここの水風呂は井戸水を汲み上げているらしいが、飲用ではないので薄茶色に濁っている。ここらでラーメンに関する記述も入れておこう。この水風呂は、ちょうど白醤油を使った淡い清湯醤油系のスープと同じ色合いだ。
水風呂で冷え切った身体を、このサウナの名物のひとつでもある外気浴で平常を取り戻す。屋上の露天風呂の広場には多くのビーチチェアが置かれてあり、一糸まとわぬ中年男性が寝転がって青空を遠くに見ている。ドライサウナには満たされなかったが、この外気浴だけで〝ととのい〟そうになった。まだ本日のメインイベントを楽しんでもないうちに、ととのってしまっては勿体ないと思い直して正気を取り戻した。
いよいよ待望の〝テントサウナ〟を初体験するために順番を待った。こちらのテントサウナは、三人ほどが入れるスペースがある小型のキャンプ用テントよりも小さいくらいの大きさだ。テントの中には薪で灼かれたサウナストーブが置いてあり、一酸化中毒を防ぐ煙突も備えてある。中にはセルフロウリュ用の水と、ヒシャクが置いてあり自身で温度や蒸気の調節が可能なのだ。前の客たちが熱さに耐えきれなくなって出てくるのを待って、ようやく私の順番が回ってきた。どうやら誰も入らないようで、贅沢にも私ひとり貸切状態での初体験が始まった。
入口の前に置かれた〝ヴィヒタ〟と呼ばれる白樺の若葉の小枝を束ねたものに、たっぷりと水分を含ませてからテント内に入った。室内は二段式のベンチが置かれてあるが、迷わずに上段に腰を下ろすと入口のシートが、見張りのスタッフさんによって閉ざされた。この見張りのスタッフさんが重要で、先客も限界になった時点でテントの透明な部分を叩いて入口を開けてもらっていた。まさに門番と言うべき見知らぬ、オジサンに命を預けた。
入ったばかりのテント内は薪釜の直接的な熱さはあるが、さほど高温といった感じではない。ここでいよいよ楽しみのセルフロウリュを試してみたが、とんでもない熱さに襲われた。外の注意書きには「すごく熱くなるので、少しずつ水をかけて下さい」とあったので、とりあえずはヒシャク一杯分の水を慎重に灼けたサウナストーブに掛けてみた。すると一気に蒸気が発生し、テント内が灼熱地獄に豹変した。上段に座っていた私の顔あたりは尋常じゃないくらいの熱波が渦巻いており息すらできない。思わず門番に助けを求めそうになったが、テントに入って1分も経っていない。あまりの情けなさが恥ずかしいが、命の危険に及ぶ状況だ。思わず頭を下げると、わずかに呼吸ができる温度帯の層を見つけた。その空気の層を崩さないように、じっと身構えていると何とか熱さが落ち着いてきて命拾いした。しかし身体を叩いて血行増進するために持ち込んだヴィヒタを振り回すと、せっかく落ち着いた熱の層が乱れるのが恐ろしくて使う事は出来なかった。
滞在時間は5分くらいだったかもしれないが、命からがら貴重な体験ができた。そのまま水風呂に向かうのではなく、汗を流すために通常ならばシャワーを浴びるのがマナーだが、ここならではの汗の流し方があるのだ。その名も〝ガッシングシャワー〟と呼ばれる水浴び装置だ。簡単に言えば昔のクイズ番組で不正解だった時に、頭上から大量の水が落ちてくる古典的な罰ゲームと同じだ。ただ違うのは頭上の水が入った桶を、自らの覚悟でロープを引くという点だ。もはや地元のベテラン勢は誰一人ロープを引く者はおらず、私のようなビジターだけが楽しんでいる装置だ。私も初めは恥ずかしく思ったが、テントサウナの熱さで思考が鈍っていたせいで、ためらう事なく頭から水をかぶっていた。
まだまだ〝太古の湯〟の由来や食事処の楽しみなど書き足りない気持ちではあるが、ラーメンレビューよりも長くなるといけないので、話を本日の出発地点まで戻すとする。
今朝は横浜市西区にオープンしたばかりの、こちらを目指して平塚のサウナを午前9時半に出発した。昨晩はサウナ上がりに生ビールを飲みながらRDBをツマミにして新店情報を見ていると、不思議な店名の新店を見つけた。お店情報では「山家道」と書かれていたが、読み方は「やまえみち」と意味不明な点が多かった。しかし私の後世のライフワークである〝ラ道〟〝サ道〟〝キャ道〟にも通じる何かを〝山家道〟にも感じたので初訪問を決めたのだった。
平塚駅から東海道線で横浜駅を経由して横浜市営バス 68系統 滝頭行きに乗車すると、15分ほどで最寄りの浜松町バス停に着いた。ナビの指示通りを道路を渡ると、順調に店先の看板が目に入ってきた。ここまでは予定通りだったのだが、その大きな看板の文字を見て、足が止まり、自分の目を疑い、全身の毛穴から冷や汗が噴き出した。
これが冒頭のシーンで、あまりの驚きに前置きが長くなってしまった事をお詫びしたい。
つい先日も相模原の新店「びんびん亭」を訪ねてみると実際には「一陽来福・びんびん亭」だったりと、店舗名が違うのは新店舗では珍しくないのかもしれない。しかし「山道家」が正式名称ならば、苦手ジャンルの〝家系〟を避けて訪問を見送ったはずだった。意気消沈して店頭まで近寄って、看板をよく見直してみると、そこには〝味噌ラーメン〟と冠が書かれてあった。店名に〝家〟の文字が入っているが〝横浜家系〟ではないようだ。この1分間で感情の紆余曲折を経た結果、味噌ラーメンならばと再び初訪問への意欲が湧いてきた。
定刻の11時ちょうどの現着と同時にオープンとなった。店先には開店記念のチラシが置かれてあり、生ビール一杯無料との大サービスが行われていたが、ビールにつられてレビューに忖度があってはならないと思いチラシを手に取らずに店内に入った。
店頭にはチラシの他にも開店祝いの花や幟旗が揺れて新店オープンをアピールしている。店内に入ると入口左手に設置された券売機から筆頭を飾っている味噌ラーメンのボタンを押して、黒い板張りのカウンター席に座り店内を物色してみる。
トータル的にも黒を基調とした落ち着いた内装で、カウンターの他にもテーブル席も多く設けてある。厨房内には味噌ラーメンを象徴する中華レンジと中華鍋が、堂々とセンターに陣取っている。味噌ラーメンの命でもある〝味噌玉〟を寝かせるための、ポリ容器も数多く準備されている。そんな〝味噌愛〟を感じさせる店内を、本日は三人体制で回している。調理場の要である鍋振りと麺上げを担うのが、店主さんだと思うが随分とお若く見える。若いながらも落ち着いた調理工程を眺めていると、着席して5分の第1ロットにて我が杯が到着した。
その姿は黒釉薬の高台丼の中で、味噌系としてはサッパリとした顔立ちに見えた。ひと昔前ならば醤油顔と呼ばれるくらいに端正な男前だ。それは全体的に油っぽさを感じない点や、盛り付けにも丁寧さや慎重さが表れているからだろう。今年の夏に札幌の「彩未」で感銘を受けた味噌ラーメンだけにハードルは上がっている中、期待を込めて黒いレンゲを手にした。
まずは柑子色のスープをひとくち。 味噌系としては油膜は薄いが、それでも液面には密度の濃いラード油が浮かんでいる。調理手順を見ていると札幌系味噌ラーメンとは作り方が違ったので、炒めた野菜や挽き肉などの香りは立っていない。そんな初対面では穏やかな印象のスープにレンゲを沈めると、油膜の隙間を縫って上がってきたのは慣れ親しんだ味噌の香りだった。そこには鍋肌で味噌を焦がしたり、ナッツを煎ったような個性的な味噌玉の香りではなく、あくまでも日常的に口にしている味噌汁のような優しい香りだ。見た目と香りの穏やかさが一致すると、不思議と安心感が生まれてきたままにスープを口に含んだ。すると豚骨由来の動物系出汁が土台となって、芳醇でありながら清らかさのある味噌の旨みが上積みされている。唇に張り付く濃厚な動物性コラーゲンを感じながらも、澄み渡った清流のような透明感もある。舌触りの中に味噌粒や、おろし生姜のザラつきを全く感じさせないスムーズなイントロだ。そんな中に、わずかながらカプサイシン系の刺激を舌先に感じた。表立った辛味ではないが、唐辛子による高揚感は間違いなく潜んでいる。そんな影に隠れたスパイスの存在に、知らず知らずのうちに食欲をあおられてレンゲを箸に持ち替えた。
タイマー音は110秒で鳴っていたが、実際には130秒で麺上げされた麺を引き上げてみる。その箸先には、黄色みと透明感を持ち合わせた中細ちぢれ麺が現れた。厨房内には関東に拠点を置く、味噌ラーメン御用達の製麺所の麺箱が積まれていた。味噌ラーメンを熟知した製麺所の麺だけに熱いスープの中でも、すすりやすいように20センチ程度に切り出しされている。そんな短めの麺を、熱さやスープの飛散を気にせずに一気にすすり上げると、唇には強靭な口当たりを感じさせながら力強く滑り込んできた。さすがに計算し尽くされた麺の短さで、ひとすすりで納まる機敏な心地良さを生み出している。そんな強気ながらも軽快さのある麺を噛みつぶしてみると、若干のゴワついた舌触りを感じてしまう。しかし、その後でグルテンが生み出した粘り気のあるモッチリとした独特の歯応えが待ち構えているので、変化に富んだ食べ甲斐がある。口の中には小麦と味噌の〝香り〟が広がり、舌の上には小麦と味噌の〝甘み〟が残る。自家製スープと外注麺の相性も良く、店主さんの麺の目利きが活かされている。
具材のチャーシューは直前まで、オープン内の角皿に乗せられて焼き目を付けられていた。一番客だったので、幸運にも焼きたてのチャーシューが盛り付けられた。豚バラの巻き型だったが、焼きすぎにも見える焦げ目が付けてあり香ばしさを演出する。実際にも赤身の水分が飛んで硬い食感とはなっているが、結果として旨みは凝縮されているので良し悪しを問えない仕上がりとなっいる。
基本で入っていた S玉程度の小さな卵は、半熟ゆで卵としては満点の出来で、味玉ならば及第点にも届かない仕上がりだった。券売機やメニューの表記を確認しておらず、どちらか分からないので今回は、中間点に位置づけして評価した。
味噌ラーメンには欠かせないモヤシも麺上げのタイミングに合わせてテボの中で茹でられ、茹で置きしないポリシーが好印象だ。中華鍋で〝あおり〟をしない手法に見えたので、ラードがコーティングされておらず、香ばしさやオイリーな食感はない。茹でモヤシなので、強いシャキシャキ感よりも柔らかめでクセのない口当たりを表現している。もちろんモヤシ特有の不快なアンモニア臭が無いのも、鮮度の良さと茹でたての証と思われる。
薬味の白ネギにも丁寧な仕事ぶりが表れていた。剛毛タイプの白髪ねぎだが、食材の無駄がないように葉先の緑の部分も使われている。見た目の良さも考えて色のコントラストが出るように、敢えて混ぜずに天高く盛り付けてある。しっかりと水にさらしてあるので切り口の潤いは保たれ、それでいて辛みは抜けていない。そんな白ネギ特有の刺激のある辛みが、味噌の甘みと競り合いながら主張をしてくる。いかにも大人の薬味と言った感じの白髪ねぎだ。
十字4切の大判な海苔が二枚も添えてあったが、ここには〝横浜家系〟の特徴と重なるものがある。新店オープン直後でも海苔の香りが乏しいのは、海苔本来の質の低さが原因だろうか。年齢のせいか、量より質を求めてしまうようになったので、半分の一枚に減らしても良質の海苔を欲してしまう。
中盤からも麺の食べ心地に誘導されて食べ進んできたが、スープ単体で飲み干せるほど優しい終盤とはならなかった。スープの中に不要な旨味を感じ始め、唐辛子系の辛みが舌に蓄積され疲れを感じてしまい箸とレンゲを置いた。
店名の由来は、誰かのインタビュー記事を待つ事にして謎を残したまま席を立った。その頃には近所の方たちがチラシ片手にやって来て、うわやましくも無料の生ビールを昼間から楽しんでいた。グラス一杯あたり 200円近い原価の生ビールサービスの集客効果が、キャンペーン期間が終わった後も続いて、いち早く地元に根付いてくれる事を願う一杯でした。