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「らーめん 醤油 ¥780+味玉 ¥100」@川の先の上の写真日曜日 曇天 13:45 先待ち9名 後待ち4名 後客3名

〝ニューオープン パトロール〟

午前中に赤坂での一食目を終えるとTBS近辺で連食先を求めてRDBを開いてみる。本日は天候が下り坂との天気予報だったので近場にて新店めぐりをするはずなのだが、候補の店が近隣では見つからずに連食計画を断念しようかと考え始めた。

しかし昼前の時点では曇り空は厚くなってきてはいるが雨は降っていない。ならば少し離れた場所で新店情報を見てみるとコチラが急浮上してきた。お店情報ではオープンして三日目の新店のようで、情報量が著しく乏しい。水曜定休だけの情報で営業時間も記載されてはいないが、何の予定もない日曜日なのでダメ元覚悟で初訪問を決めたが横浜よりも遠い場所だった。

赤坂からは溜池山王まで腹ごなしを兼ねて歩いて向かい、銀座線にて新橋で京急本線直通の浅草線に乗り換えると運良く快特だったので最寄りの上大岡駅まで40分足らずで降り立った。この駅も人生初だったが駅ビルの大きさに驚き、行き交う人の多さに住み心地の良さを想像した。連食する程の空腹ではないので駅ビル内で時間を過ごしながら連食スペースが空くのを待った。

二時間もすると胃袋に余裕もできたので駅前から再出発した。マップの指示通りに進んで行くと「川の先の上」の屋号の由来となった川に架かる橋が現れたが〝上〟を連想させる上り坂がなく不安になる。川の先の交差点までは来たが思っていた景色とは違い平坦な場所なのだ。すると開店祝いの花が並んだ小さな飲食ビルが目に入った。もしやそこではと近寄ってみると、ラーメン鉢をイメージしたロゴマークの看板があった。その奥には二階へと続く階段があるのを見て〝川の先の上〟の意味がようやく理解できた。

二階の店先の外待ちイスには並びが出来ていたので最後尾に付けて店外待機となった。店外と言ってもテナントビル内なので日差しや雨風を避けられる最高の待合席だ。行列の進みも順調で、さほど待つ事なく外待ち一番手まで来た。すると行列整理のスタッフさんに食券の先購入を促され店内左手券売機にて品定めをするが、迷わずにマイスタンダードである醤油系に味玉のコンビを発券して外待ち席へと戻る。

階段に飾られた数々の花の送り主を見ているとラーメン業界の方も多く見られるので、同業者内での親交の深さが伝わってくる。また同テナント内のスナックからの開店祝いも届いているので、きちんとしたご近所付き合いをされている証だろう。そんな事を思っていると最後尾から10分もせずに入店となった。

案内されたカウンターに座り食券を手渡し店内観察を開始すると、さすがは多くの系列店を待つだけに充実した厨房設備が目を惹く。最初に飛び込んできたのは入口右手の製麺室で、室内には大成機械工業の3型製麺機が鎮座している。入口付近に積まれた粉袋からも想像していたが、自家製麺である事は把握できた。さらにはラーメン店には珍しいチャンバー型冷蔵庫も設置してあり、スープの材料や自家製麺の保管に使われているようだ。そのチャンバーの手前には大型の吊るし焼き燻製釜も設けてあるので大好物である広東式叉焼への期待も高まる。

そんな圧巻の設備にも負けない総勢七人の豪華布陣でオープン特需を乗り切る作戦であるが、調理工程の全てを店主さんが一人で担っていてオペレーションとしては大変そうだ。その中で中華鍋を必要とする味噌ラーメンもメニューアップされているので、仕事量の多さは中途半端ではない。

本日の客層を確認しようと周囲を見ると、偶然にもカウンターの端の席にはラー◯ン官僚が座っていた。私が気付いたのとほぼ同時に調理中の店主さんも気が付くと、明らかにギアが上がった。と言うよりは少しパニックになってしまったようで、麺を茹で間違えて破棄したりと調理が滞ってしまった。スタッフ間での食券の置き場などが徹底されていない点も重なり、調理の流れが随分と変わってしまった。

スピードダウンしながらも冷静を取り戻してラー◯ン官僚に提供された塩ラーメンには、さすがに厳選された具材を盛り付けてあった。その区別は店側にとっては当然な事で、インフルエンサーとして影響力のある客人には細心の注意を払って然るべきである。そんなレアケースに見舞われながらも待っていると、着席して15分ほどで我が杯も到着した。

その姿は白磁に朱赤の刷毛目の描かれた高台丼の中で、美しい茶褐色のグラデーションを見せている。丁寧とは言いがたい盛り付けではあるが、全ての食材に命が吹き込まれていると感じられるオーラがある。そこには食べずとも美味いと伝わってくる何かを感じながらレンゲを手にした。

まずは唐茶色のスープをひとくち。清湯醤油ではあるが見た目にも深みを感じさせるのは深海を思わせるスープの色合いだろうか。見ているだけで吸い込まれそうなスープにレンゲを射し込むと、清らかな鶏出汁の香りが湯気にまとって上がってきた。いざ口に含むと第一印象としてはキレッキレの醤油感が先行する。それは決して塩気が強いのではなく、醤油ならではの複雑な風味が真っ先に脳に届いた。奥深い熟成醤油の旨みやフレッシュな生醤油のような酸味が重なった背後には、丸鶏主体と思われる動物系スープが土台をしっかりと築いている。鶏出汁からではないコクも加わっているのは香味油だろうか、ほとんど魚介の風味を感じないが鶏出汁だけではない深みがある不思議なスープに魅了された。もちろんカエシの塩梅も申し分なくボヤけない程度にメリハリを与えている。

完全にスープの虜になったところで麺へと進んでみる。麺上げまでジャスト60秒の自家製中細ストレート麺を箸で持ち上げると、あまり得意でないタイプのシルクタッチな麺質が箸先から伝わってきた。この感覚の自家製麺には噛み逃れしようとする歯切れの悪い麺が多い印象があり、不安になりながらすすってみた。やはり滑りの良い口当たりではあるが、思ったよりも奥歯の咀嚼に応えてくれる。グルテンの弾力や歯応えを楽しむタイプではないまでも、苦手な食感は免れたホッとした。そんな麺をすすり上げた時に感じたのは鴨油のような野趣ある香りだったので、香味油には鴨油も含まれているのだろうか。優れたバランスのスープの中に加わったコクがスープに奥行きを与えている。

楽しみにしていた具材のチャーシューは部位違いで二種類入っている。見た目の形状は豚ロースに見えるが肉質からは豚肩ロースと思われるチャーシューは、厨房内にある大型の吊るし焼き燻製釜で仕込まれたであろう絶品チャーシューだった。それは広東式叉焼と低温調理チャーシューとのハイブリッドのようで、レア感のある舌触りと吊るし焼きによる余分な水分の抜けた肉質の両方を楽しめる。しかも盛り付け直前にスライスする切り立てへとこだわりも嬉しい。ありそうで知らなかった良いトコどりのチャーシューとの出会いは衝撃的だった。このチャーシューの切り落としで飲むビールを想像しただけで喉が鳴った。一方の豚バラの煮豚型も秀逸で、赤身と脂身のバランスの良い部位を使い脂身の柔らかさと赤身の食べ応えの両面を引き出している。部位も調理法も異なるチャーシューには店主さんの〝焼豚愛〟を感じずにはいられなかった。

さらには〝メンマ愛〟にも溢れていて業務用味付きメンマを使う店が多い中で、当然のように手仕込みされた細メンマからも仕事量の多さが伝わってくる。完全乾燥メンマならではの発酵臭を残した下処理の丁寧さも感じ、それを活かした味付けも絶妙である。そんな手間のかかったメンマを惜しげもなく盛ってあるのもありがたい。手間を掛けられたメンマだけが表現できる食感は幾度もアクセントとなって変化をつけてくれた。

追加の味玉は好みの熟成タイプではなかったが、白身の柔らかさを最大限に引き出したオリジナルの仕上げには個性を感じた。しっかりと漬けダレも浸透して旨みや深みともに素晴らしくはあったが、黄身が形を留めずにスープに流れ出してしまう程の柔らかさばかりは独自の〝味玉論〟からは外れてしまった。

二種類のネギからも〝薬味愛〟を感じるが、白ネギの焼きネギは火入れが今一歩足りずに繊維質が残ってしまった。もっと真っ黒になるまで焼いた白ネギを、表面の焦げた皮を一枚剥いただけでネギの甘みが引き出される気がした。ひと手間かけた焼きネギではあったが、甘みも食感も発揮しきれてなかった。青ネギの小口切りは切り口の鮮度もよく軽やかな香りと歯触りが心地良かった。

中盤からは麺が少しダレてきた感覚があるが、早食いの本領を発揮して平らげた。スープを飲み干す事は自粛したが最後まで塩分過多を感じずにレンゲを置いた。

最初はイレギュラーな場面もあり不安な要素もありはしたが、環境面や接客はラーメンの評価に反映させない方針なので高評価は譲れない結果となった。ただ自家製麺と具材の一部が好みと違っただけで、他のスープも試してみたいと思える一杯でした。

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