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「淡麗鶏そば 味玉 ¥900」@鶏そば うえ原の写真平日 晴天 14:00 先客10名 後客4名

〝ニューオープン パトロール〟

本日は前日から外泊してまで立てた連食プランに基づいて行動している。午前中に一食目を文京区駒込にて食べ終えた後で、連食先に決めておいたコチラへと直ぐに移動を開始した。

山手線で池袋を経由して東武東上線にて30分ほどで最寄りの成増駅に着いた。しかし前食から間もないので、駅前のコーヒータイムで時間を費やしながら消化も促すとした。今年はラーメンのために一度だけ訪れた事のある成増駅だが、駅前や商店街を歩くのは人生でも初めてかもしれない。複雑に入り組んでいる駅前の街並みが初心者には厄介だが、駅前には不思議な活気があふれている。そんな風景を眺めながら二時間も過ぎると満腹だった胃袋も落ち着いてきたので、目的地を目指して商店街の方へと向かった。

なりますスキップ村という商店街を歩いて行くと突如として大きな暖簾が飛び込んできた。昼ピークをとっくに過ぎているにもかかわらず、店内はほぼ満席の様子。先客の食券購入を待ってから白い暖簾をくぐって入店した。下調べ不足ではあったが鶏出汁に特化したラーメン店のようで、メニュー数もそれほど多くはない。言わばスープの濃淡とトッピングを選べば良いだけで、迷う事なく〝淡麗〟に味玉入りを発券して案内されたカウンターに腰を下ろした。

ホールスタッフさんに食券を手渡すと、味の「薄口」か「濃口」の二択を問われる。初めてなので「普通でお願いします」と言うと「濃口が普通になります」と何とも分かりづらい禅問答のようなやりとりがあり、それならば薄口にしなければと慌てて訂正した。卓上にお冷のピッチャーを探していると、入口近くにウォーターサーバーが置かれてるのに気が付いた。カウンターの奥に座ると、セルフで水を汲みに戻らなけばならないので初めての方は注意が必要だ。無事に水を汲んで席に戻ると店内を物色する。

うなぎの寝床のような敷地に造られたのは、L字ではあるが一辺には2名ほどしか座れない縦長のカウンターだけのレイアウトだ。古い物件のようだが新たに改装されているので、とても清潔感がある。厨房内に目をやると高価なスチコンをはじめとした業務用真空包装機などの新品の厨房機器が並んでおり、新店への意気込みが感じられる。そんな気合の入った店内を本日は四人体制で回しているが、昼夜の通し営業のようなのでスタッフも多く必要となるのだろうか。しかしここで不思議な違和感を感じ始めた。

店構えや内装も然り、整った厨房機器や豊富な人材を見ていると個人店の中に自分がいるといった感覚がまるでない。それは大手資本とまでは言わないが、何かの後ろ盾があるように思えて仕方なく映った。何の確信もないが大きな力を背後に感じながら待っていると、着席して12分かけて我が杯が到着した。

その姿は胴の部分が反り返った白磁のオシャレな切立丼の中で、どこかの類似品的な表情を見せている。現代のトレンドの最前線の容姿なので似たものが多くあるのは仕方ないが、薬味の切り口にまで酷似したラーメンを思い浮かべてしまった。そんな初対面とは思えない感覚のままにレンゲを手にした。

まずは赤丹色のスープをひとくち。かなりの透明感のある下地を覆い隠すような粒子の粗い鶏油を破ってレンゲをスープに落とし込むと、力強い香りが鼻の奥へと突き抜けた。それは酸味を伴った醤油の香りだ。屋号やメニューから想像していた鶏出汁の香りよりも強い醤油香に驚きながらスープを口に含んでみると、私の許容範囲を遥かに超えた塩気が口の中を支配した。薄口を告げてこの塩分ならば、基本の濃口はどれほどの塩っぱさなのだろうか。それはカエシの分量を間違えたのではと疑ってしまうくらいの塩分設定だ。券売機に貼られてあったウンチクには有名地鶏やフランス産の赤鶏まで使用したスープとなっていたが、カエシの陰に隠れてしまって鶏出汁の旨みを感じる味覚は残ってない。本日の客層の大半は店の清潔感に惹かれた女性客だったが、先客の誰ひとりとしてスープに手を付けていなかったので私だけの下ブレではない事を悟った。すぐに喉を灼くような刺激も伴ってきたので、ひとまずは水で口をすすいでスープは諦めた。

味覚をリセットして麺を楽しむとする。麺上げまでジャスト60秒の中細ストレート麺を箸で持ち上げてみると、全粒粉が色濃く麺肌に浮かんだ独特の色合いを見せる。また切刃のエッジがハッキリと立った麺の形状も特徴的だ。そんな個性的な麺を啜ってみると、あまり類を見ない口当たりが心地よく、麺のエッジが仕掛けてくる鋭いアタックから感じられる切れ味なのだろう。そんなラーメンでは感じる事の少ないシャープな口当たりが唇を洗礼する。鋭さをキープしたまま口の中へと滑り込んできた麺に、寄り添って入ってきたスープの塩気だけが気にかかる。と言うよりは塩気ばかりが際立ってしまっている。そんなスープとの対比で麺の甘みを引き出しているのなら理解もできるが、麺の持ち味を越えてしまっている事が残念で仕方ない。せっかくの素晴らしい麺を殺しているとしか思えず、麺の個性を活かしてくれるような他のスープとの相性を知りたくなってしまった。

具材のチャーシューは基本では豚肩ロースが添えてあるが、ウンチクでは特製にはバラエティに富んだ部位が入っているようだ。しかし今回は豚肩ロースにフォーカスして説明したい、というかそれしか入ってないので他の部位のチャーシューを説明のしようがないのが本音だ。特製にすればよかったと思いながら説明すると、厨房内に鎮座しているスチコンや真空包装機からも分かるように真空低温調理で仕込まれたチャーシューが薄切りながら大判で一枚入っている。盛り付けの直前に調理場の奥の方でスライスされた切り立てにこだわったチャーシューに、バーナーで炙るひと仕事までされていた。その炙りの工程は香ばしさを着ける為ではなく、豚肉油脂の熔解点に戻す作業だけのようで焦げや香ばしさは感じられなかった。しかしその作業が与える影響はチャーシューに顕著に表れていて、赤身ながらもしっとりとした食感やスープの温度を下げない役目も果たしていた。また穏やかながら豚肉本来の旨みを引き出した味付けも良かった。

それに比べて追加した味玉には悔いが残った。微かにだけ出汁が浸みてはあったが、スープの塩気に毒されて繊細な出汁の旨みなど感知できる味覚センサーは働いていない。そうなれば単なる半熟ゆで卵を食べているとしか思えなかった。提供温度も適温に戻してあっただけにもったいなく感じる。

薬味の青ネギだが、写真からも分かるように乾燥した切り口からは〝薬味愛〟とは無縁の青ネギに思えた。その上、人間業ではないような切り揃えられた切り口には業務用カットネギさながらの仕上がりを見せている。

彩り要員も兼ねたミョウガの千切りの切り口は鮮度もよく潤っていたので、香りや舌触りも良好だった。またミョウガ特有の軽やかな苦味と清涼感が、スープで疲れきった舌を自然な味わいで癒してくれた唯一の存在だったかもしれない。

中盤からは美味しかった麺までも強いスープを吸い始めて印象が変わり始めたが、なんとか食べ急いで麺だけは平らげた。この時点で最初に汲んだお冷も底をついているが、卓上にピッチャーが置かれてないので入口まで汲みなおしに行かなければならない客泣かせな位置に座らされた事を後悔した一杯でした。

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