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「焦がし醤油らーめん(鶏)¥780+煮玉子 ¥100」@麺家 うえだの写真日曜日 晴天 10:30 待ちなし 後待ち5名

〝温故知新ラーメンめぐり〟

故き麺を温ねて新しき麺を知る

昨日、書棚にあった 2006年の首都圏版ラーメン本を久しぶりに開いてみた。その巻頭を飾る老舗特集では、渋谷「喜楽」神田「栄屋ミルクホール」などの10数年前から老舗扱いの名店が取材されていた。それらの当時からの名店は現在も人気を博しファンに愛される人気店だ。しかし、そのラーメン本に掲載された新店特集の店の9割はすでに閉店している。それだけラーメン業界で生き残るのは大変なのだろう。

そこで本日はRDBと昔のラーメン本をフル活用して、10年以上ファンに愛され続けている名店めぐりを開催する事にした。その首都圏版のラーメン本の中に気になるページを見つけたのが埼玉県の特集ページだった。今では目にする事のない店の名前もある中で、現在も活躍されている二つの名店が同じ見開きのページに掲載されていた。どちらも10数年前当時から人気店として紹介されていて、現在のラーメン本でも良く見る店なのだ。その二つの店の連食計画を企てる事を決めてRDBを開いてみる。

RDBのお店情報では開店時間が早かったのがコチラだったので一軒目に決定した。11時開店前の現着を目指して9時半には自宅を出発。最近では利用頻度の高い副都心線に乗車し乗り換えなしで40分の早さで最寄りの志木駅に着いた。南口を出ると駅前整備の大工事が進められている。工事現場を大きく迂回して進んでいくと10分もしないうちに白い看板と黒いのぼりがたなびく店先が見えてきた。開店30分前の現着では行列もなく半シャッター前の外待ちベンチの先頭にて待機をはじめる。

待ち時間を利用して本日のお題を再検討する。店先の歩道に立てられたのぼりには「焦がし醤油らーめん」と書かれている。店頭のメニューには多数のラインナップが並んでいるが〝埼玉名物〟の言葉に惹かれて焦がし醤油らーめんにしようと決めた。

定刻になる頃には並びも5人に増えていた。オープン15年を迎える現在でも開店待ちが出る人気店なのが分かった。11時ちょうどに開店となり券売機で決めておいたお題に煮玉子目当てでトッピングのボタンも押した。カウンターの奥に座り店内を物色する。

かなり照明を落とした薄暗いカウンター越しには名物店主さんが元気そうにされている。写真では何度も見た事のある方だけに初対面には思えない。本日は三人体制で回しているが、着席すると直ぐに 1st ロットでの調理が始まった。その光景はラーメン店では見る事のない豪快なインパクトを見せつける。オーダーした「焦がし醤油らーめん」と言うのは名ばかりでなく〝焦がし〟を超えた〝燃やし〟の景色が目の前に広かった。それは丼に入れられたカエシや香味油を直接バーナーで炙る工程から生まれる。最初は穏やかに油が弾ける音がしているだけだが次第にその音は大きくなり、薄煙が立ち昇りはじめる。すると見る見るうちに火柱が上がると、高さ1メートルを超える火柱へと豹変したのだ。その巨大な火柱の向こうに見える女性店主の麺上げ姿が今でも目に焼き付いて離れない。

一瞬で店内にはスモークが立ち込めて幻想的な光景になったところに我が杯が到着した。それは黒の高台丼が二鉢重ねられて現れた。バーナーで熱された丼に触れないための二重構造らしい。今まで見た事の姿に驚いてしまった。その奇妙な重ねられた器の中の姿は、黒の器の重ね着の中に更に黒のスープをコーディネートしている。そのスタイルを見て、まだ若かりし日に受けたショックを思い出した。

それはコムデギャルソンのデザイナー川久保玲が投じた「黒の衝撃」だった。

その30数年前の黒の衝撃にも似た姿が器の中にあふれていたのだ。その黒の濃淡を、薄暗い店内のスポットライトが浮かび上げている。そんな隠微なグラデーションに背徳の美を感じながら木製レンゲを手に取った。

まずは黒檀色のスープをひとくち。登場時は液面を覆う具材や香味油に守られて湯気は上がっていないが、レンゲでそれらを破ると瞬時に湯気が立ち昇る。その湯気には香ばしい焦がし醤油の香りが寄り添っている。正に名は体を表すである。十分に香りを楽しでからスープを口に含もうとすると、想像以上の熱さが唇に伝わった。器やカエシをバーナーでダイレクトに熱してあるだけに狂気的な温度だ。木製レンゲなので幾らかは温度が伝わりづらいはずだが、それでも驚くほどの高温スープだ。息を吹きかけ少し冷ましてから飲んでみると、焦げた醤油にほんのりと甘さが加わった見た目よりも柔らかな印象だ。みたらし団子という表現にも納得できる甘 辛 苦が一体となっている。ベースを鶏か豚から選べたのだが、今回は鶏ベースにしたのでコクよりもキレのあるベースと合わさり軽やかな印象を受けた。

麺は店主自らの指先で茹で加減を確かめられた中細麺の中では少し太めで、麺上げまでは約150秒ほど。その麺をスープの中から引き上げると、熱された器の口縁に麺が触れた瞬間にジュッと麺が焼ける音がした。そこから更に幻想的な光景が浮かび上がる。初めて空気に触れた麺肌からも、湯気が川の流れのようにせせらぐ。光を受けたその光景もまた美しく食欲を刺激する。すでにスープが浸みて色付いた麺を啜ってみると、色調ほどの醤油感は移っていない。むしろ麺の小麦の甘みの方が優っていると感じる。それもスープの塩気が引き出した仕業だとしたら完璧なまでの方程式だ。見た目の醤油感と実際の塩気の違いに脳内は混乱しているが、そのおかげで夢中で麺をむさぼる事ができた。

ここまでは良かったが具材が私の好みとは違っていた。それは提供温度の冷たさが全てだった。最初は器の中で炙られていると思った豚バラチャーシューだが冷えていた。脂身よりも赤身が多い部位は好みだったが、冷たい口当たりには意表をつかれた。たしかにスープがかなり高温なので冷たいチャーシューを浸しても温度がすぐに下がることはないが、せっかく炙ったチャーシューならばせめて常温以上であって欲しかった。

味玉も同じく黄身だけでく白身までも冷えていた。開店直後の 1st ロットというのもあるだろうが個人的には残念だった。味付けも控えてあるのはスープとの組み合わせを考えての薄味なのだろう。もしかしたら提供温度も箸休め的な冷たさを表現していたのだろうかとも思えた。

こちらはメンマではなく山くらげを採用されているが、独特の食感のアクセント能力は抜群で楽しむことができた。ラーメンの中で出会ったのは初めての醤油せんべいは、徐々に湿気ていく変化が面白く焦がし醤油との相性は言うまでもなく良かった。

薬味の青ネギや白ネギと、あげ玉や海苔の存在感はスープや麺に比べると感じられなかった。しかし茹でキャベツに粉唐辛子が振られた具材からは、キャベツの持つ甘みと唐辛子の辛味が見事に合って味にメリハリを付けていた。

最後まで麺とスープのコンビネーションの良さで完食したが、スープは単体で飲み干せるほどヤワではなくレンゲを置いた。食べ終えた後も 2nd ロットまでの提供しかされていないので時間をかけた丁寧な仕事ぶりなのだろう。今回は具材が残念な部分があったが、他のスープや麺も試してみたくなる内容だった。また次回も店主さんの健在ぶりを見に来ようかなと思った一杯でした。

投稿 | コメント (2) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

こちらにもいらっしゃってたのですか!
みさえさんですが、22日に20周年を迎えるこちらですが6月末で引退を発表だそうです。
2回ほどしか過去に行けなかったので最後に訪問してみようかと思います。
コム・デ・ギャルソン、メンズ・ビギ、フランドルとか懐かしいですね。
先日、ビギのスタジャンを処分しました(涙)

虚無 Becky! | 2019年6月21日 20:08

そうでしたか。貴重な引退情報ありがとうございます。そして本当にお疲れ様でした。DCブランドって今や死語ですよね。フランドルとかメンズビギとか懐かし過ぎます!ビギに関しては「MENS BIG 1」って偽ブランドまで出回ってました。私も思い返せば POSH BOYの派手なスタジャン着てましたが、今では恥ずかしくて着られないですね。

のらのら | 2019年6月21日 23:31