コメント
砂漠のラクダさん、あけましておめでとうございます。
なかなか、贅沢な余暇ば過ごされたようで何よりです。
当店の魅力は、スープは自家製、麺は外注なのに、麺を主役に置いている(※主観ですw)ところではないかと。スープは少々奥ゆかしく麺の斜め後ろ、昭和の女はこんな感じの立ち位置だったのではないでしょうか。
しかしながら、奥深さや旨味の懐深さに魅せられたや否や、気が付くのです。麺の美味しさを支えるスープの完成度、高次元の成熟に。しかしながら、後味には残らない。これぞ、昭和の母。
次回は、大盛でも頼んで少しゆっくりとご賞味いただければ。
Dr.KOTO | 2019年1月10日 21:06味玉して お麺でとう具材増し。
KOTO氏も よろ支那竹 おネギ増し増し。
昨年は Dr.KOTO氏のおかげで、素敵な時間を二度も過ごせました。おっしゃる通りに大盛を頼んでしまうと、また麺に気を取られそうなので、ごはんセットにしてスープの良さを再確認したいと思います。申し訳ありませんでした。
のらのら | 2019年1月11日 23:57

のらのら
りょうま

レインマン
たこすけ






〝新春うまいものめぐり〟
と題して昨年お世話になった店の中で自分が本当に美味しいと思った店だけを巡る贅沢な一週間を過ごそうと決めた。数ある新店めぐりも良かったが好みのタイプのラーメンに出会える機会はやはり少ない。なので今週は新店めぐりをやめて好きなラーメンだけを食べようと思い各地を巡っている最中だ。
本日は江東区で美味しかった店を思い出してみる。昨年中に江東区内で訪ねた店は4軒だけと開拓不足なのだが、そんな少ない中でも私の美味しいと思う自己基準の85点を超えた店がこちらなのだ。しかも元々は得意ではない豚骨魚介系のジャンルでの最高得点でもあり、前回をキッカケに私の中の何かが変わり始めたのは確かだ。その日を〝煮干し革命〟ニボリューションと名付けた。
そこで今朝は体調も万全で起床できたので11時開店前の現着を目指して普段はゆかりのない門前仲町に向かった。自宅を9時半過ぎに出発し半蔵門線から東西線へと乗り継ぎ所要時間は30分ほどだが随分と遠くまで来た気がする。それは落ち着いた街の雰囲気がそう思わせるのだろうか。改札を上がった通りにあるスーパーの下町っぽさにホッとしたり、立ち話をしているおばあちゃん達の風景が懐かしく思える。
そんな下町風情の駅前を通り抜け大通り沿いを歩いて行くと冬の風に揺れる大きな白い暖簾のこちらが見えてきた。少し早過ぎたのか行列はないが外待ち用の丸椅子を借りて先頭でオープンを待つ。席の横には待ち時間も退屈しないようにと心遣いの雑誌が置かれている。何とも心温まる気づかいに寒さも少し忘れる。
雑誌に目を通しながら待っていると定刻5分前に奥様がメニューを持って先に注文を取りに来られた。前回と同じメニューをお願いすると定刻よりも少し早くオープンとなった。好きなカウンターに座らせてくれる辺りがゲストファーストの表れだ。ましてや一人客に対してもテーブル席でもどうぞと店側の都合を押し付けない接客には感動した。しかし接客などは採点に考慮しないと決めているので気持ちを落ち着かせてカウンターに腰を下ろした。
年季の入ったアットホームな店内を本日も御夫妻で切り盛りする。互いに声を掛けずとも間合いが揃ったコンビネーションは淡々とした静寂の中にも店に活気と勢いを与える。お冷やのセルフや食後の丼の上げ下げまで指示する店が多い中で、広い店内をお二人で全てをこなす姿は時代の流れに逆行するが美しく見える。
そんな居心地も良いが、きちんとした雰囲気の中で待っていると着席して5分程で我が杯が到着した。美濃焼の大きなタコ唐草の描かれた多用丼の中の姿は暖色のグラデーションを海苔の黒で引き締めている。ファッションに差し色が使えず同系色のコーディネートばかりになってしまうオジサンにはお手本のような黒の使い方だ。私の場合は差し色の黒が使えず黄土色だけの服装になってしまい砂漠のラクダに間違えられかねない。
まずはその黄土色のスープをひとくち。レンゲをスープに沈める感覚は清湯スープかと思うほどに軽やかだ。スープをすくったレンゲの中には煮干しの銀皮がキラキラと輝いている。それを口に含むと最初に煮干しの旨み、苦味、塩気の順番で脳に伝わってくる。私の苦手な豚骨魚介は、煮干しの苦味、塩気、そして最後に旨みを少し感じる程度のスープが多いが、こちらのスープは煮干しの旨みが躍動している。確かに苦味もあるがエグ味ではなく、さばけの良い後味だ。
もちろん煮干しだけではなく鰹の厚削りのようなドッシリとした魚介のコクとスープの基礎となっている豚ゲンコツのような動物系の出汁に臭みが全く無いので煮干しが思う存分に躍動しているのだろう。醤油ダレも豚骨魚介にありがちな塩分過多もなく穏やかながら塩気をボヤけさせない絶妙の塩梅。こちらのスープの最大限の特徴は香りと塩気にあると思う。少し狂っただけでも臭みが出たり塩っぱくなりそうなスープを守っているのは、ご主人の経験と感覚だけのように思えた。
麺は切り刃のエッジが見えない程にグルテンと水分を含んだ中細ストレート麺だがポッチャリとした印象を受ける。箸先で持ち上げても重みのある麺にツルツルとした麺肌がそう思わせる。いざ口に運ぶと箸先から伝わってきた通りのツルッとした口当たりで一本一本の重みもある。噛めば奥歯を跳ね返すような歯応えがコシの強さを表し、それでいて歯切れは良く心地良い。最終的には喉ごし柔らかく跡を残さず消えて行く。優しくもあるが芯の強さは揺るがない昭和の母のような麺に思えた。その姿はテレビドラマで活躍された昭和の母を代表する女優の京塚昌子さんのようだった。
具材は豚肩ロース焼豚が添えてある。本日は大判な煮豚型焼豚を半カットした脂身の少ない部分が盛り付けてあったが、良質の赤身の旨みはあるがサッパリとしすぎて物足りなさも感じた。前回は反対の部分だったので脂身も適度に残りシットリと食べられたと記憶している。どちらでも大した変わりはないが前回の方が好みだった気がする。
追加した味玉は飼料の色素に頼っていない黄身の色が自然な黄色がうれしい。黄身の色が赤ければ良い卵のような風潮が残念で仕方ないのでこちらの卵は本当に素晴らしい。下茹での加減も絶妙で半熟だけど黄身は流れ出さない見本のような下茹で加減。味付けも出しゃばらず良かったが前回の熟成感は乏しく多少残念だった。
逆にメンマは完璧で発酵臭を残した薄味で繊維が口に残る事なくほぐれてくれた。かといって柔らかすぎる訳ではなく食感のアクセント役も果たしている。
薬味の白ねぎはもう少し加熱された甘みを感じたいが、生のネギの持つ辛味を主張する切り方なのでシャキッとした食感はあった。これは好みの違いで私はもっと薄切りのネギの熱変化を楽しみたいと思った。海苔は今回は香りも口溶けも良かったので開封したてで鮮度が良かったのだろう。
中盤になっても麺の歯切れと喉ごしの良さは衰えず胃袋に収まって行く。私が早食いなのもあるが麺肌にグルテンのザラつきを感じないままに完食してしまっていた。なのでスープの持ち上げは良くないままに終わったが、麺の甘みとスープの穏やかな塩気の組み合わせでスープも飲み干していた。具材には少し好みと違ったとこもあったがスープと麺は前回以上の好印象で席を立った。
ラーメンを食べ終えた後の自身のバロメーターとして必ず行うことがある。それはお冷やを飲んで少しでも水に甘みを感じたらスープの塩分が多かった事を確認する。さらに店を出て外の空気を鼻から思い切り吸った時に臭みを感じたらスープに香りではなく臭みがあったと判断している。本日はそのどちらも感じることが無く幸せな気分で帰り道につけた一杯でした。