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「半熟味玉中華そば ¥1000」@中華蕎麦 とみ田の写真平日 薄曇り 6:50 待ちなし 後待ち6名

「三度目の正直」となるか「二度あることは三度ある」になるのかと不安の募る中、人生で三度目の松戸駅に着いた。

この一ヶ月の間だけで三度目なのだが、いずれもこちらへの初訪問の為だけに駅前のデラックスカプセルホテルを予約し前泊して早朝7時からの食券を手に入れようとしたのだ。(当時は整理券だと思っていたが時間制の食券だった)しかし毎回、夜の松戸の魔力に負けてしまい飲みすぎて昼まで寝てしまい食券を買いに行けない怠惰な失敗を繰り返していたのだ。

しかし今回は絶対に同じ失敗をしないように財布とカードをホテルに置いて、わずかな現金だけをポケットに押し込んで夜の街に出た。結局は呑みには行ったのだが、これが功を奏して二時間ほどで有り金が底をつき夜のネオン街を後にした。ホテルに24時には戻り大浴場で汗を流して明日の為に万全を期してベッドに入った。

目覚まし時計をセットして翌朝6時半に無事に起床し、まずは食券購入のために店に向かったがシャッターは閉まり人影もなく店内は真っ暗だ。もしやの臨時休業かと不安の中で店先で待っていると食券販売開始時間の7時直前に店員さんが出勤されシャッターが上がった。スタッフが券売機に釣り銭を入れる作業などを待っていると7時を少し過ぎた頃にようやく販売開始となった。先頭でお目当てのお題を購入しスタッフさんに手渡し名前を告げると食券の裏紙に10:40と書かれた券をもらった。この時刻に店頭にいないとキャンセルで没収扱いになると説明を受け、ひとまずホテルに戻りもうひと眠りする事にした。

ここでようやく記念すべき〝第20回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟を開催できる運びとなった。このイベントはRDB PC版のオススメに挙がる六店舗から定休日や営業時間などを考慮して、その店のオススメでは無く自分の好きなメニューを食べて採点し勝敗を決めるものである。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去19戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」と名だたる有名店や人気店が並ぶが対戦成績は19戦10勝4敗4分 7KO 1試合放棄と現在は勝ちが大きくリードしている。その大きな勝因としては清湯醤油系が好みの私に対してスパコンはガッツリ系やつけ麺系を推し続けてくるのが問題ではないかと思う。

しかも今回の第20回目の節目となる対戦相手に選んだのは私がレビューを開始当時からスパコンのオススメのトップに君臨しているラーメンヘッズなら知らぬ者はいない超超超有名人気店のこちらなのだ。知っての通り、つけ麺で名を馳せた店だけに私の嗜好とは違っているのは明らかだ。

以前は私自身が、塩分 魚粉 化調への耐性が余りにも脆弱すぎて対戦を見送ってきた点も大いにある。しかしこの半年間で幾らかは耐性レベルがアップしたのではないか思い対戦を決意したのだ。そんな人気店のせっかくのプライオリティチケットを手に入れたのに、これで遅刻でもしたら元も子もないと思うと緊張して眠られず10時半にチェックアウトして再び店に向かった。すると指定時刻前なのに確認の点呼が始まっていて慌てて列に続いた。無事に確認が取れた所でトップで入店しカウンターに座った。

いささか緊張ぎみで店内を見渡すと、あらゆる媒体で引っ張りだこのご主人が目の前にいる。この事が緊張に拍車をかける。緊張を振りほどこうと目線を落とすが、カウンターには無垢では無いがニスの塗られた高級一枚板が使われている。高級寿司屋のような一枚板が更に緊張をあおる。それだけだは無く手びねりのグラスに丸氷が浮かんだお冷に高級利休箸と設えの全てが洗練されている。

そんな高級感あふれる店内をご主人を含めた三人体制で仕切られている。私の緊張が解けないままに調理が始まった。ピカピカに磨かれたステンレスの調理台の作業風景が見えないのは寂しいが所作のひとつひとつから丁寧な仕事なのは伝わってくる。奥からはつけ麺用の麺を水で締める音が聞こえてきた。つけ麺よりも早く仕上がるだろう先頭の私の中華そばの出来上がりを待っていると先につけ麺の盛り付けが始まった。不思議に思っているとスタッフさんから「すみません、つけ麺からの提供になります」とお断りのアナウンスをされた。そんな事もあるんだなと納得して待っているが着席後15分経っても先頭の私には配膳されない。カウンターを見ると一巡目の全員に、つけ麺が提供されて食べ始めている。そんな中ひとりだけ何も無いまま待ち続けると先頭で着席して20分以上もかかって我が杯が到着した。

朝イチで並んで先頭で入ったのに、こんな仕打ちが待っていたとは。つけ麺推しの店で一人だけ中華そばを頼んだ事を悔やんだ。つけ麺愛は感じるが、中華そばに対する愛はそれ以下なのだろうか。

緊張は悲しみに変わったが目の前のラーメンには罪はないので気持ちを切り替えて真摯に向き合う。木目の配膳盆の上に置かれた黒塗りの高台丼には地元愛を感じる絵柄が描かれてある。その器もさる事ながら、その中の姿は力強いが丁寧な盛り付けから美しさも感じる。さすがは王者の風格が漂っている。

まずは渋紙色のスープをひとくち。苦手な魚粉を崩さないようにレンゲをスープに沈める。レンゲから伝わってくるのは濃密でマットな質感でレンゲを持つ指先に抵抗が掛かる。グッと押し込むようにしてスープをすくうと魚粉を崩してないのにレンゲには魚粉の粒子が張り付いてくる。口に運ぶまでの香りは動物系特有の匂いが先行するが決して臭みとかではなく品のある匂いだ。いざ口に含むと香りは魚介に切り替わる。想像していたザラつきはあるが懸念していた粉っぽさは無くサラッとしているようにも感じた。初動で感じた塩気も強すぎず他店の同系のスープとは明らかに違い印象は良くなった。

その好印象の勢いで麺をいただく。麺上げまで315秒も茹でられる自家製太麺は箸で数本持ち上げただけでもズシっとした重量感がある。スープをまとっているので麺自体の色は分かりづらいが全粒粉の胚芽色も見られる。麺肌はなめらかなのだろうがスープの粒子があるので舌触りは滑らかとは言いがたい。小麦の風味も出ているのかも知れないが感じ取れない。やはりつけ麺を麺だけで食べる方が小麦の良さを感じられそうだ。歯応えは抜群で奥歯を跳ね返すコシの強さとプレスに応じたモッチリ感を兼ね備えている所が麺の人気の高さを裏付ける。

具材は豚バラ肉の巻型煮豚で箸でつかめないほどに柔らかく崩壊寸前だが素材と良さと技術の高さが重なり脂身と赤身のどちらの良さも引き出している。脂身本来の甘みと赤身に浸み込んだ煮汁の醤油の旨みが一体となって表現されている。強気のスープにも負けない肉の旨さで勝負している。

追加の半熟味玉は黄身をギリギリのポイントで仕上げてある。流動的な部分は全くないが硬化した部分もなく均一な下茹では見事だ。半熟卵としては最高傑作だと思うが、好みの味玉とは違っていたので残念。ただ濃いめのスープとの相性を考えての薄味だと思うので欲は言えないかと。たしかに味玉が味覚をリセットする役割を果たしてくれてたのは事実だ。

極太メンマは私の分だけかも知れないが二本とも硬い繊維が口に残った。噛み切ろうと何度も噛んだので分かったが味付けは素晴らしかった。醤油味の中に隠れたフルーツのような甘みが噛むたびに旨みに変わっていた。あれで繊維が断ち切られていたらと思うと余計に残念だ。

薬味は白ねぎが小口切りで添えてあるが気になったのはネギの鮮度ではなく、切られてからの時間と保管状態だ。切り口は乾きみずみずしさとは程遠く全体的にもパサついて食感が悪い。もちろんネギからの香りは無く薬味の意味を成していない。黄ゆずは香りが残っているが偶然に嚙み潰しでもしない限り姿を見せず香りが立たない。

海苔もつけ麺の麺を巻いてそのまま食べれば磯の香りの本領を発揮しそうだがラーメンの中では持ち味を出していない。苦手な魚粉も食べ進めているうちに姿を消していたが溶け出してスープが濃くなった部分を飲んでみると甘味が増していた。と言うことはこちらの魚粉は塩気の穏やかで旨みの強い良質の魚粉と言うことになるのだろう。少し魚粉に対する抵抗感が薄れた。ナルトは今回も無条件でパスした。

後半には慣れない旨味に疲れてきたが完食していた。さすがに初心者にはスープを飲むことは難しいと思っていたが食事中に卓上のウンチクに中華そばでもスープ割りが出来ると書かれてあるのを知っていた。なのでスープ割りをお願いすると、かなり薄まったスープになって戻ってきた。粘度もなくサラリとしたスープは煮干しの香味が増して相当うまい。最初からこのスープでも良いくらいと思ったが、スープ割りは麺を食べ終えたら声をかけて下さいと記してあり最初からは無理なようだ。

飲み干すことは出来なかったが口の中がサッパリと食べ終えられた事は本当に有り難かった。席を立つ時にスタッフさんが「遅くなって申し訳ございませんでした」と丁寧なご対応をしてくださっので点数を上げたい所だが接客や環境は採点に考慮しないと決めているので今回はこの点数にさせてもらった。

ただ単に私の好きなジャンルでなかっただけで人気が高い理由も知ることが出来たのは今回の対戦の収穫だと思う。これで記念すべき節目の第20回目のスパコンとの対戦も私の判定勝ちとなり通算対戦成績もは20戦11勝4敗4分7KO 1没収試合という結果になった。

これでひとつの大きな山場を超えた気がして心置きなく来年を迎えられそうだ。さらなる来年の目標はスパコンのオススメにある湯河原の超人気店との対戦である。こちらとの対戦も前泊は必至のようなので温泉街の夜の誘惑にも負けない気持ちの強さを身に付けなくてはいけないと心に刻む一杯でした。

投稿 | コメント (2) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

のらのらさん、読み応えのあるレビューで大変参考になりました。私も正直こちらの敷居の高さに近年は疑問を抱きつつあります。個人的に通年完敗しております、同じ系統の店舗、吉左右に挑んで頂きたいなぁと思いました。またのらのらさんのご意見を楽しみにしております!

さいぴー | 2019年1月20日 13:00

こんばんは。はじめまして。本当にくだらない読み物なのに、ありがとうございます。お薦めいただいた吉左右さんには昨年ですが、二度ほどお世話になりました。同系が得意でない私でも大変おいしく満足の内容でした。読まれる事のない日記のような気持ちで書き記していたのですが、読まれていることを知り気が引き締まる思いです。コメントありがとうございました。

のらのら | 2019年1月20日 23:00