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2024年5月27日の大崎裕史の今日の一杯

東京都港区赤坂見附

海老雲呑麵(塩:3個:1380円)+南の島豚出汁しゃぶらー麺(醤油:1500円)

2024年5月24日、赤坂一ツ木通りにオープン。際コーポレーションの新業態。そう書くと「なぁ〜んだ」と思うラーメン好きも少なからずいることだろう。34年も歴史があると、そう思うのもわからないでもない。しかし、今回はいろいろと違う。
まず、店名に店主(店長)の名前が入っているのは、初めてではないだろうか?
あ、そう言えば、今年の2月にオープンした店に社長自らの名前を入れた「らー麺 なかじま」があった。それに匹敵する出来事である。開店二日目の11時半頃に行くと先客1。新店ハンターですら来ていない。しかし、ここは後に話題になるのが間違いない新店と言える。

スープは3種類。魚介系のみで動物系を使わない醤油スープ。魚介系と鶏・豚・牛の動物系を合わせた塩スープ。そして、その両方をブレンドしたスープの3種類。いくつかの麺メニューから選択したらどのスープで食べるかを選ぶ。
麺メニューは、らー麺1000円、南の島豚出汁しゃぶらー麺1500円、南の島豚出汁叉焼麺1500円、海老雲呑麵3ヶ入り1380円、5ヶ入り1680円。

店のオススメらしい「海老雲呑麵」を塩スープで注文。(券売機はなく、後会計制)
注文が入ると店長(本間さん)がスープを小鍋に移し、温める。海老雲呑は別のスタッフが中華鍋で茹でる。
盛り付けて「海老雲呑麵」が完成し、目の前に登場。第一印象は「海老雲呑がデカい!」。まず雲呑を一個食べてみた。これはビックリ。ラーメン店史上最大級の海老が入った雲呑。一口では食べきれない大きさ。これを3個食べられるだけで満足は約束される。

スープは淡麗清湯、あっさりしながらも旨味が詰まったスープ。際コーポ系は300店舗くらいあるのに、セントラルキッチンがない。全店店炊き。それなのに無化調。それが中島社長のポリシー。塩スープは、丸鶏、鶏ガラ、もみじ、牛骨、豚肉塊、豚挽肉塊、野菜、果実、白菜、あみ海老、干鯛、貝、宗田鰹節など、いろいろ使っている。塩は藻塩、粟国塩、瀬戸内の塩、ゲランド塩。薬味は青ネギ、白ネギ、揚げネギ。揚げネギの効果を発揮している。
麺は中太やや平打ちのなめらかタイプ。茹でる前に少し手揉みしてウエイブを付けている。
雲呑に隠れていたチャーシューがこれまた柔らかくておいしい。次回は叉焼麺でもいいかな、と思った。
際コーポ系のラーメンは中華系のラーメンが多かったが今回はかなりラーメン店の“ラーメン”に寄せている。
文句なしにおいしく、完食完飲。

実は、駅からここに来るまでに未食の新店があったので2軒目はそこで食べて帰ろうと思っていた。しかし、醤油スープも食べてみたくなった。一杯目のラーメンにはそれくらい魅力があった。そこで「南の島豚出汁しゃぶらー麺」を醤油味で追加注文。
塩と同じようにスープを小鍋に移し、温め始める。おっと、豚しゃぶもそこに投入。
醤油スープは干魚、干鰺、干鰯、うるめ鰯、干いか、宗田鰹節、鯖節、干イタヤ貝、羅臼昆布、干椎茸などからスープを取り、糸島ジョーキュウ薄口醤油、関東ヒゲタ本膳濃口醤油、和歌山再仕込み醤油などをブレンド。動物系は使ってないのを楽しみにしていたが、豚しゃぶが入ると肉の旨味や脂も入る事になる。味としてはより、おいしくなるが初回はらー麺の方が良かったか。
それはそれとして、醤油と塩でスープを変えているのもスゴいが、薬味まで変えている。醤油には大葉、茗荷や千切り生姜などがのっている。豚しゃぶの量が多くて嬉しいが、2杯目の私は持て余すほど。麺は同じ。
でも、こっちもおいしく完食完飲。いや〜これはスゴい店がオープンしたもんだ。

まだお客さんも少ないので店長にヒアリング。本間さんは、あの有名な「せたが屋」グループ出身。出戻りも含めてかなり長い間、活躍していたようだ。どのブランドに居たのか聞いたら「ほとんどのブランドを経験させていただきました。」とのこと。ラーメンのイベントで私にも何度か会っているとも。
企業経営の店舗では、利益を出さないといけないので原価を抑える傾向にある。最近の話題の新店は、個人店舗で原価をかけて高品質のラーメンを出す店が増えている。この店で二杯食べ終えた印象は、「あまり利益が出ないのでは?」と思えるようなクオリティ。中島社長が「まずは自分でやりたいラーメンをやってみろ。原価は気にするな!」とでも言ったのではないかと思える内容。逆に個人店舗では作れそうにないラーメンだった。他のラーメン店主がこのラーメンを食べると「こんなラーメンを出されちゃ、個人店舗はたまらない」と思ってしまうのではないか?
資本力+ラーメン専門店での長い経験=スゴイラーメンの誕生!
そんな図式が浮かんでしまった。これをやらせて貰えるなら、と能力があるのに店舗を出せないでいる人達は際コーポへ応募する人が続出するのではないだろうか?そんなことすら思える新しい展開だった。
ブレンドスープも食べに行かなきゃ。

お店データ

らー麺 本間

らー麺 本間

東京都港区赤坂4-2-3 赤坂一ツ木館1F107(赤坂見附)

このお店の他の一杯

    大崎裕史
    大崎裕史

    (株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。