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2025年3月22日の大崎裕史の今日の一杯

東京都調布市仙川

雲呑醤油旨味ソバ(1250円)+塩かけソバ(800円)

2025年2月24日、仙川の名店「しば田」の跡地にオープン。この新店の店主も「しばた」さんという。前の店主は柴田さん、新しい店主は芝田さん。もちろんまったくの無関係。こんな偶然も面白い。
まずは20年以上前の話から始めなければならない。2002年4月にオープンした銘店がある。その名を「我流旨味ソバ 地雷源」(以下、地雷源と略する)という。インターネットは普及していたものの新店の情報流通は今ほど早くはなかった。私は近くに勤務するラーメン仲間から教えてもらい、食べに行って感動した。お客さんは少なかったが「この店はすぐにスゴいこと(大行列)になる」とネットに書き、実際その通りになった。
しかし、時の流れは速く、20年以上も前のことを覚えている人は少ないかもしれない。また、今、活躍中の若い人は20年前のことを体験していない可能性もある。そんな話を長ったらしく始める私も“老害”と呼ばれるかもしれない。
「地雷源」は2010年3月中野に移転オープン。そして2011年9月「さいころ」にリニュアルし、後に閉店。2017年9月、「地雷源」出身でそのDNAを受け継ぐ店として榎本さんが吉祥寺に「Tombo」をオープン。
そして今年2月、「さいころ」で5年、「Tombo」で5年経験を積んだ芝田さんが「なんぞ」をオープン。
私の60年近いラーメン歴の中で大きな存在の一つである「地雷源」の系譜がこうして紡がれている。すぐに食べに行きたい気持ちもあったが今回は少し落ち着いてから行ってみたい、と1カ月近く経って行ってみた。
「しば田」時代は仙川から行くことが多かったが、会社(目黒)からの行き方検索をすると成城学園前駅からバスというのが出てきた。仙川駅から遠いので、今回はこのルートにした。若葉町二丁目バス停で降りるとお店は目の前。11時40分着で8番目。
「地雷源」も「Tombo」も駅から遠い。「地雷源」に初めて伺った時、店主である鯉谷さんに「やや不便な場所ですが、どうしてここへ?」と聞いてみた。するとこう答えてくれた。「不便な場所でも旨い物を提供すればお客さんは来てくれる、と信じているから」。「Tombo」の榎本さんも「なんぞ」の芝田さんも同じ考えなのだろうか?
順番が回ってきた。スタッフに「連食は可能ですか?」と聞いたら、あまり連食する人がいなかったのか、「たぶん大丈夫です」という返事だった(笑)。
主なメニューは、醤油旨味ソバ 1000円、雲吞入り醤油ソバ 1250円、かけ醤油ソバ 800円、旨塩ソバ1000円、雲吞入り塩ソバ 1250円、塩かけソバ 800円 ※大盛不可
雲呑入り醤油ソバと塩かけソバを購入。
“ソバ”表記は「地雷源」「Tombo」も同様。そんなところにもウルッと来る。
店主とスタッフの二人体制。
麺は大鍋で泳がせるように茹で、タイマーを使わず、平ザルであげている。1杯または2杯ずつしか作らない。もっとも席数も6席だからそれで十分。まずは雲呑入り醤油ソバが登場。醤油と塩で丼は使い分けている。
具はチャーシュー、メンマ、有明産海苔、きざみ青ねぎ、揚げねぎ。
スープはさらさらの無化調清湯醤油味。醤油は近藤醸造キッコーゴ丸大豆醤油「五郎兵衛醤油」を使用。動物魚介で旨味が複雑でコクが深く、鯉谷さんの顔が浮かんでくるほど。さすが地雷源DNAだけある。迷いなく完飲。麺がおいしく、当時(地雷源)を彷彿とさせる細ストレート麺。麺を揃えて提供。具はどれもそつなく、実においしい一杯。

塩かけソバ。
醤油が赤い丼、塩は青を基調とした丼。スープがたっぷり入る丼であることも嬉しい。なので2杯目はお腹がちゃぽんちゃぽんで少しだけスープが残ったが、これも普通なら完飲するほどおいしい。具は刻みネギのみ。これもいい。

スープはさらさらの無化調清湯塩味。ベースのスープは醤油・塩共通、タレと香味油で替えている。
注文のたびに小鍋で沸かしたスープを丼に張ってから麺をゆで始めるオペレーション。塩の方が出汁感がよくわかる気がした。
醤油も塩もどちらもおいしい。

最後に店主がどこから地雷源DNAを受け継いでいるのか?2-3質問しただけで初期の地雷源からの地雷源フリークだとわかった。きっと私の顔はニヤリと笑っていたに違いない。いや〜、いいお店の誕生!また伝説を作り出せるか!?

お店データ

ラーメン専門店 なんぞ

ラーメン専門店 なんぞ

東京都調布市若葉町2-25-20(仙川)

このお店の他の一杯

大崎裕史
大崎裕史

(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。