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2017年8月1日の大崎裕史の今日の一杯

福島県河沼郡会津坂下

冷やしラーメン

夏になると登場する「冷やしラーメン」と「冷やし中華」。最近では「冷やし中華」は少なくなり、「冷やしラーメン」や「創作冷やし」が多くなっている。
ちょうど20年前、1997年に発売された月刊誌「Gainer(ゲイナー)」7月号で、冷やしラーメン特集が組まれ、下記のような店が紹介されている。
航海屋@阿佐ヶ谷    清流メン
りきまる@下北沢    土佐っ子冷やし
坂内@有楽町      和風冷やしラーメン
東生園@麹町      冷やしラーメン
ら~めん家さん@渋谷  つめたいラーメン
田々@新橋       冷やし支那そば
青冥@赤坂       細切りトリ肉の冷たいスープそば
Le Cafe@御徒町     冷やし入谷ラーメンM
ミス・ドラゴン@有楽町 なすと挽き肉の冷やしそば
白龍@西新宿      トマト冷麺

懐かしい。何軒残っているのだろう?

冷やしラーメンの元祖は山形にある「栄屋本店」で昭和27年に発売したとなっている。(栄屋本店HPより)
ところがもうちょっと早く出していた店がある。私が小学校低学年の時から食べていた「食堂いしやま」(会津坂下町)である。かれこれ50年前から食べていることになる。その後、2-3年前テレビの取材で伺うことがあり、私が話を聞いたら昭和27年の2月に作ったとのこと。常連のお客さんが喉を腫らして温かいラーメンが食べられない、と言ってきてその人のために冷たいラーメンを作ってあげたのが始まりだとか。
「食堂いしやま」の店主が「うちが一番古い」とか「元祖だ」とか言ってるわけではない。私がたまたま聞いたら「こっちの方が古かった」という話。

「食堂いしやま」の冷やしラーメン640円は、葱の変わりに玉ネギを加え、氷を浮かせている。かなり薄味でシンプルだが、子供の頃から食べているせいか、身体に染み入る。時には温かいラーメン540円と冷たいのを二杯食べることもあった。そんなお客さんの食べ方を見て、真似してみたのだ。

喜多方ラーメンとも違い、会津ラーメンとも違い、山形の冷やしラーメンとも違い、弟子やインスパイアが登場することもなく、60年以上も続いている老舗。

「自慢のスープは、きれいな黄金色。極限まで油分のみを取り除き、器の底が透けて見える透明感。しっかりとコクのある醤油味のスープを冷たい水で割り、氷を浮かべる。そこに相性抜群の細ちぢれ麺を茹で、冷水でしめる。」(通販商品ページより引用)

シンプルなスープだが、これが妙に好きなんだなぁ~。刻み玉ねぎがまたいい。ラーメンもシンプル。麺も柔らかめだがこれもまた好き。好き、というか、この味を食べて育っているので旨いとかそうじゃないとかを超越している。町の人も家族で食べに来て、寒いのにラーメンと冷やしが半々くらい。会津に行った際には、ぜひ寄ってみて欲しい。

お店データ

食堂 いしやま

食堂 いしやま

福島県河沼郡会津坂下町市中二番甲3617(会津坂下)

このお店の他の一杯

    大崎裕史
    大崎裕史

    (株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。